ガイドライン

(旧版)有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン

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IV.結果

 
2. 検診方法の証拠

3)ペプシノゲン法
直接的証拠

渡瀬らは東京都足立区住民健診でペプシノゲン法を受けた5,449人(40歳1,464人、50歳1,829人、60歳2,156人)を対象とし、死亡小票、住民基本台帳による5年間の追跡(追跡率87.1%)の結果、3人の胃がん死亡を確認した53)。ただし、死亡例3人中2人はペプシノゲン陰性であった。胃がん標準化死亡比は足立区における胃がん死亡率を標準とした場合0.31(95%CI:0.06-0.92)、全国における胃がん死亡率を標準とした場合は0.34(95%CI:0.07-0.98)であった。検討対象は同年齢層の全区民の22.0%であり、元々胃がん罹患率の低い集団が選択的に受診している可能性がある(セルフ・セレクション・バイアス)。受診者の特性を明らかにするためには、少なくとも、検討対象集団と比較可能な集団の全死亡との比較が必要である。また、ペプシノゲン法受診前や追跡期間内の検診受診歴について、住民検診との照合はなされているが、都市部の受診者を対象としていることから、職域や人間ドックなど他の受診機会の可能性が高いにもかかわらず、その点については全く検討されていない。考察においても、バイアスに対して全く言及されておらず、研究の限界についての認識がされていない。従って、ペプシノゲン法による胃がん死亡率減少効果を示す証拠としては極めて脆弱である。

 

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