ガイドライン

(旧版)エビデンスとコンセンサスを統合した潰瘍性大腸炎の診療ガイドライン ―難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班 プロジェクト研究グループ

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推奨ステートメントと解説


5.重症の潰瘍性大腸炎に対する治療

5.3 重症潰瘍性大腸炎に対するシクロスポリンの有用性と至適用量1,7,8,9)

重症UCに対してシクロスポリンはステロイドより効果に優れる:推奨グレードA(Ib・7)

ステロイド抵抗性の重症UCでも、シクロスポリン静注に反応することが少なくない:推奨グレードA(Ib・7)

積極的なステロイド治療を7〜10日行って改善しない場合は治療継続による効果は期待できず、外科治療またはシクロスポリン治療の適応となる:推奨グレードB(II・7)

重症UCに対するシクロスポリンの至適用量は2mg/kgである:推奨グレードA(Ib・7)

重症UCに対してシクロスポリン投与をする際には血中濃度をモニターすべきである:推奨グレードI(V・8)

解説: 重症UCにおいてステロイドとシクロスポリンの単独投与を比較した試験では、シクロスポリンが有効性において優った。しかし安全性や経済性の点も考えると、効果のみで第1選択薬を決定付けるものではない。積極的なステロイド治療に反応しない例におけるシクロスポリンの効果を検討した試験では、80%以上で改善が認められた。このことからステロイド治療により明らかな改善が得られない重症例では、外科的治療だけでなくシクロスポリン静注治療を考慮すべきといえる。ただしこれらの比較は短期アウトカムに関するものであり、長期的には外科的治療が必要となることも少なくない。シクロスポリンに関する初期の臨床試験では4mg/kgの高用量が検討されていたが、最近の2mg/kgとの比較試験では共に第8日目の改善率80%以上、反応までの期間4日と同等であり、結腸切除回避率はむしろ低用量群で高かった。シクロスポリンの経静脈投与は専門施設で行われるべきであり、血中濃度のモニタリングが必要であるとの専門家のコンセンサスが得られた。

 

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