ガイドライン

(旧版)エビデンスとコンセンサスを統合した潰瘍性大腸炎の診療ガイドライン ―難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班 プロジェクト研究グループ

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推奨ステートメントと解説


1.疾患概念・分類・リスク評価

1.2 病態(病期・病変範囲・重症度)による分類1,3,4,5,6)

治療選択は、病期・病変範囲・重症度により異なる:推奨グレードI(V・9)

潰瘍性大腸炎の病期を、血便を訴え、内視鏡的に血管透見像の消失、易出血性、びらんまたは潰瘍などを認める「活動期」と、血便が消失し、内視鏡的には活動期の所見が消失し、血管透見像が出現する「緩解期」にわける:推奨グレードI(V・9)

病変の範囲により、「直腸炎型」、「遠位大腸炎型」(S状結腸まで)、「左側大腸炎型」(脾彎曲部まで)、「全大腸炎型」にわけることができる:推奨グレードI(V・8)

このガイドラインで用いられる病変範囲の定義づけ
直腸炎型 病変が直腸に限局しているもの
遠位大腸炎型 病変が直腸・S状結腸に限局しているもの
左側大腸炎型 病変が脾彎曲部より肛門側に限局しているもの
全大腸炎型 病変が脾彎曲部を越えて口側に広がっているもの

排便回数は1日4回以下で、血便はあってもわずかであり、全身症状を伴わない場合を「軽症」とし、排便回数1日6回以上で著明な血便や発熱、頻脈、貧血などの全身症状を伴う場合を「重症」とする。またその中間を「中等症」とする:推奨グレードI(V・9)

潰瘍性大腸炎の重症度分類
(厚生省下山班)
  重症 中等症 軽症
(1)排便回数   6回以上   重症と軽症  
との中間
4回以下
(2)顕血便 (+++)   (+)~(-)  
(3)発熱 37.5℃以上 なし
(4)頻脈 90/分以上 なし
(5)貧血   Hb10g/dl以下   なし
(6)赤沈 30mm/h以上 正常
注: 重症とは(1)および(2)の他に全身症状である(3)または(4)のいずれかを満たし、かつ6項目のうち4項目以上を満たすものとする。
  軽症は6項目全てを満たすものとする。
  重症の中でも特に症状が激しく重篤なものを劇症とし、発症の経過により、急性劇症型と再燃劇症型に分ける。
  劇症の診断基準:以下の5項目を全て満たすもの
    (1)重症基準を満たしている。
(2)15回/日以上の血性下痢が続いている。
(3)38℃以上の持続する高熱がある。
(4)10,000/mm3以上の白血球増多がある。
(5)強い腹痛がある。

解説: 潰瘍性大腸炎の病態の理解と病期・病変範囲・重症度の的確な把握は、治療法を選択する上で重要である。病期と重症度の分類は厚生省下山班の基準に則った。病変範囲では、国際的に左側大腸炎を「脾彎曲部まで」としている。局所療法の適用可能性を考慮した分類と思われ、本ガイドラインでもこの定義づけに対し専門家のコンセンサスが得られた。



 

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