ガイドライン

有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン
平成16年度 厚生労働省がん研究助成金
「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班

書誌情報
IV.結果


2.検診方法の証拠

5)全大腸内視鏡検査

不利益

偽陰性率は5%以下であり、偽陽性率も低いので、その影響はわずかと考えられるが、検査関連の不利益は多様である。検査に伴う偶発症は、前処置と検査、ポリペクトミー、内視鏡による感染などがある。
前処置に関連する偶発症は、鎮静剤、鎮痙剤、鎮痛剤、下剤によるものがあり、いずれも死亡例が報告されている。前処置に広く用いられている経口腸管洗浄剤(ニフレック)では、平成15年9月に腸管穿孔及び腸閉塞に関する緊急安全性情報が出ている。ニフレックを使用した推定患者1,772万人から、腸管穿孔による死亡例4人を含む5人が報告されているほか、腸閉塞も、発売以来、死亡例1人を含む7人が報告されている15)
日本消化器内視鏡学会は、1983年以降、5年間に1度の調査を行っているが、4回にわたる調査のうち、大腸内視鏡検査による偶発症は0.06%、死亡は0.001%とほぼ一定である84)。1998年から2002年までに、大腸内視鏡検査の偶発症は0.069%(2,038/2,945,518)であり、死亡は0.00088%(26人)であった。その死亡原因は26人中、穿孔22人、急性心不全3人、脳梗塞1人であった。ただし、これらの報告は、検診や診断を目的とした検査と治療目的の検査(ポリペクトミーなど)が識別されていない。
前処置に関する報告は上部・下部消化管内視鏡検査をあわせて0.0059%の偶発症があるが、鎮痙剤、鎮静剤、鎮痛剤による報告が88.9%であり、大腸内視鏡検査においても偶発症として無視できない。
内視鏡による感染について、1997年に行われた日本消化器内視鏡学会消毒委員会の報告が行われている73)が、全大腸内視鏡検査における感染例は確認されていない。しかし、その可能性は否定できないことから、消毒は不可欠である。

 

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