ガイドライン

有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン
平成16年度 厚生労働省がん研究助成金
「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班

書誌情報
IV.結果


2.検診方法の証拠

3)S状結腸鏡検査

不利益

全大腸内視鏡検査や注腸X線検査に比べ、前処置が容易であり、また前投薬もほとんど使用されない。FSによる観察のみでは穿孔や死亡例は生じていないとする報告がほとんどである61,67,68)
Atkinらは、FS後の出血を3%(全40人、うち14人はポリペクトミー後)に認め、生検後の出血例1人が入院したと報告している67)。この他に、検査直後の心筋梗塞1人、迷走神経反射1人、下痢の持続1人を報告している。便潜血陽性者に対する精検では、FSによる観察だけでは出血や穿孔は報告されていない69)
Andersonらの報告では、49,501人のFSにより2人の穿孔が生じた(0.004%)が、死亡例はなかったと報告している70)。野崎らのS状結腸鏡による検診41,765人では、要精検率12.2%で、穿孔・出血などの偶発症を認めなかった71)。また、楠山らの報告では、S状結腸鏡と注腸X線検査の併用による精密検査65,480人中、S状結腸鏡に関連する偶発症として穿孔1人があったとしている(0.0015%)72)。以上の結果から、偶発症の可能性を全く否定することはできないが、その頻度は極めて低いことが推測される。
内視鏡による感染については、1997年に行われた日本消化器内視鏡学会消毒委員会の報告が行われている73)。25.7%(76/296)の施設で内視鏡検査による感染の経験があったが、その大半はH.pylori による急性胃粘膜病変であり、B型肝炎を含むウイルス感染例は明確には示されていない。また、全大腸内視鏡検査における感染例も確認されていない。ただし、内視鏡による感染の可能性は否定できないことから、検査後の消毒は不可欠である。

 

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