ガイドライン

EBMの手法による
周産期ドメスティック・バイオレンスの支援ガイドライン

書誌情報
 
第7章 推奨と解説


VIII フォローアップ計画と記録

女性は支援を求めるかたずねる〜フォローアップ計画と記録 エビデンス・テーブル

 
著者・年・国 セッティング   対象   DV
判定方法
データ
収集方法
  介入   主要結果・
コメント
研究
デザイン
EV
レベル
 システマティック・レビュー
Ramsay et al.
2002
UK
医療施設 DVにあっていると判定された女性 N/A データベース(Medline, Embase, CINAHL)を使用。2001年1月まで
女性を中心にした介入(行為的,心理的,教育的)
連携,情報提供,支援の形態の拡大
6文献が抽出されたが,おのおのの介入やアウトカムが異なっており一貫した結果が得られなかったため,結果の統合は行われていない。
スクリーニングで発見された被害女性に対する医療における介入の有効性に関するエビデンスは,わずかである。
QOLや精神的な健康といった重要なアウトカムを測定したRCTが不足していた。
抽出した研究では,介入の害について測定しているものはなかった。
コメント:
2001年3月以降の文献は扱っていない。
SR 1a
MacMillan et al.
2001
Canada
医療施設 DVにあっていると判定された女性 N/A データベース(Medline, PsycINFO, CINAHL, HealthStar, Sociological Abstracts)を使用。
2001年3月まで
シェルター退所後のアドボカシーカウンセリング
被虐待女性へのカウンセリングプログラム
暴力を予防するための周産期におけるカウンセリング
11文献が抽出されたが同一介入を評価しているものが含まれていたため,3つの介入の有効性について検討された。そのうち,シェルター退所後のアドボカシーカウンセリングのみが,唯一推奨できる十分な証拠がある。
コメント:
2001年3月までの文献を扱っている。その後に発表されたエビデンスについては,含まれていない。
SR 1a
 ランダム化比較試験
McFarlane et al.
2002
USA
弁護士事務所の家族内暴力の部門 被虐待女性150名
介入群75名
対照群75名
AAS 自記式質問紙 介入:安全行動に関する6回の電話によるセッション
介入群のほうが3カ月後,6カ月後とも安全に向けての行動が有意に多く採用されていた(p=0.007)。
コメント:
無作為化の方法が記載されていない
ITT解析ではない(脱落率は2%)
アウトカムは,暴力の予防ではなく,安全行動の採択としている
盲検化の記載がない
介入なしの対照群をおいていない。
RCT 1b
McFarlane et al.
2000
USA
妊婦健診 妊娠期の被虐待女性329名(主にヒスパニック女性)
介入1:94名
介入2:73名
介入3:92名
(すべて分析時の対象数)
AAS 自記式質問紙 介入1:簡潔な介入(リソースカードとパンフレットの提供)
介入2:カウンセリング(DV専門カウンセラーによるカウンセリング)
介入3:カウンセリング+メントー(DV専門カウンセラーによるカウンセリング+相談相手としての母親からのサポート)
すべての介入において,暴力の程度は産後有意に減少していた(p=0.001)
産後2カ月の時点では,介入3が介入2と比べ,暴力の程度が有意に低かった(p =0.05)。
産後6,12,18カ月の時点では,3つの介入による暴力の程度に差はなかった。
コメント:
無作為化の方法が記載されていない
ITT解析ではない(追跡率は79%,脱落理由は明記されておらず)
割付時の各介入の対象数が不明
盲検化の記載がない。
RCT 2b
Sullivan et al.
1999
USA
コミュニティ シェルター退所後の女性278名
介入群143名
対照群135名
N/A 自記式質問紙 介入群:アドボカシー介入(10週間にわたって被害女性が社会資源を活用できるようにトレーニングを受けた女性の擁護者が1対1でサポートする 対照群:通常のサポート
介入直後において,介入群は比較群より身体的暴力をふるわれた経験が少なく(p =0.03),うつ症状が少なく(p =0.02),QOL(p=0.01)およびソーシャルサポートが高く(p=0.01),社会資源取得の困難性が低かった(p=0.001)。
介入2年後においては,介入群は比較群より身体的暴力の経験が少なく(p=0.05),社会資源取得の困難性が低かった(p=0.001)。
コメント:
ITT解析ではない(追跡率は95%)
盲検化に関する記載なし
RCT 1b
 比較対照試験
Parker et al.
1999
USA
妊婦健診 妊娠期の被虐待女性199名
介入群132名
対照群67名
AAS 自記式質問紙 介入群:安全行動に関する3回の面接相談(うち半分は追加の相談を勧めた)
対照群:リソースカードの提供
介入群は対照群と比べて,6カ月後および12カ月後においての身体的暴力
非身体的暴力が有意に減少していた(p =0.007)。
コメント:
ベースラインにて2群間の暴力の程度は有意に異なっていたため,そのデータを共変量として投入している。しかし,2群間の背景因子の比較がされていないため,交絡因子の影響の検討ができない。
介入群の介入が不統一
比較対照試験 2c
 対照なしの介入研究
Muelleman&Feighny
1999
USA
救急外来 救急外来に来た女性の患者で,DVによるけがが疑える者
介入前群105名
介入後群117名
N/A コンピュータデータベース 介入:救急外来を基盤とした擁護プログラム 擁護者が女性の状況を把握し,安全状況について話し,DVに関する一般的知識,有用な社会資源に関する情報を提供する。
介入後群は,介入前群と比べ,シェルターの利用(11%対28%,p=0.003)およびカウンセリングの利用(1%対15%,p =0.001)が有意に上昇した。
コメント:
選択バイアス,測定バイアス,交絡バイアスなどが含まれる可能性が高い。
前後比較研究 4
McFarlane et al.
1998
USA
妊婦健診 妊娠期の被虐待女性132名 AAS 自記式質問紙 教育,擁護,連携が含まれた3回のセッション
介入後において安全に向けての行動の採択は,有意に増加していた(p=0.0001)
安全に向けての行動は,特に第1回目のセッションの後に増加していた。
コメント:
選択バイアス,測定バイアス,交絡バイアスなどが含まれる可能性が高い。
前後比較研究 4
 前向きコホート
Harrykissoon et al.
2002
USA
大学病院 出産後570人(3,6,12,24カ月)思春期女性 AAS,ISA 面接   親密なパートナーからの暴力は,産後3カ月以内が21%と最も高く,24カ月13%と最も低い。妊娠中に暴力を受けていた女性の75%は産後にも暴力を受けていた。 前向き
コホート
3b
Rumn et al.
2000
USA
軍関係者 21,643の軍関係家族   診療記録   配偶者からの虐待ありの家族は,ない家族に比べて,OR2.0(95%CI:1.9, 2.1)の子どもへの虐待が起こっている。 前向き
コホート
2b
McFarlane et al.
1999
USA
公的クリニック 虐待被害者の妊婦199名 ISA,DA,SVAWS 面接   妊娠前1年間に虐待あったもの60名(30.2%),妊娠前1年間はなく,妊娠中に虐待を受ける35名(18.1%),妊娠前1年間および妊娠中に虐待を受けていた103人(63%)。最後の103人は,他のグループに比べて虐待の程度が深刻。 前向き
コホート
3b
McFarlane et al.
1995
USA
公的妊婦健診クリニック 妊婦1,203人 AAS,CTS,ISA,DA 質問紙   妊娠中の身体的暴力は16%にあった。妊娠中に暴力を受けた人は,妊娠時以外に暴力を受けた人に比べ,すべての暴力の程度を測定する尺度で有意に高い値が示された。妊娠中の暴力の頻度と程度は重症で,殺人に至るリスクも高い。 前向き
コホート
3b
 ケース・コントロール
McFarlane et al.
2002
USA
10州からランダム抽出 殺人,殺人未遂のケース群と虐待のあったコントロール群 DA 面接   コントロール群の7.8%,殺人未遂の25.8%で妊娠中の虐待があった。殺人未遂あるいは殺人の被害者となった女性は,殺人や殺人未遂に至らなかった女性と比べ,妊娠中の虐待があった割合が3倍(OR 3.08,95%CI:1.86, 5.1)高率であった。妊娠中に虐待のあった人は,なかった人より暴力の程度が深刻。 ケース・
コントロール
4
 横断研究
Martin et al.
2001
USA
州の監視システムから抽出 出産後の女性2,648人   電話・手紙   妊娠前6.9%(95%CI:5.6, 8.2),妊娠中6.1%(95%CI:4.8, 7.4),出産後3.6カ月後3.2%(95%CI:2.3, 4.1)。 横断研究 3b
Greenberg et al.
1997
USA
大都市の公立・民間医療機関 救急外来に性器出血で来た261名妊婦 AAS,DA 面接と観察   性器出血があった妊婦の身体的虐待の割合は87名(33.3%)であった。 横断研究 4
 症例集積
Griffing et al.
2002
USA
シェルター DVにあっていた女性90名 N/A インタビュー N/A
これまでに別れようと試みた回数は,平均4.5回で,33.5%は5回以上であった。
症例集積 4
Campbell
1986
USA
コミュニティ 女性193名 被虐待女性97名 虐待ない女性96名 セルフレポート 自記式質問紙 N/A
信頼性係数は,0.71であった。
CTSとの相関係数がr=0.43で中程度の相関が認められた。
コメント:
カットオフポイントが設定されていない。
予測妥当性の検討がされていない。
症例集積 4

 

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