ガイドライン

EBMの手法による
周産期ドメスティック・バイオレンスの支援ガイドライン

書誌情報
 
第7章 推奨と解説


II DVスクリーニング

3.臨床症状の探索
臨床症状 エビデンス・テーブル


 
著者・年・国 セッティング   対象   DV
判定方法
データ
収集方法
主要結果・
コメント
研究
デザイン
EV
レベル
 システマティック・レビュー
Jones et al.
2001
USA
N/A DVとPTSDに関する過去10年の論文 N/A N/A DV被害者ではDSM-ⅣでのPTSDが31~84%にみられた。
虐待の期間・程度とPTSDの重症度に関連あり。
DV被害者にはうつ(depression)とうつ症状(dysthymia)が多い。
SR 3a
 メタアナリシス
Murphy et al.
2001
Canada
N/A 妊婦 N/A N/A 低出生体重児発生割合について,妊娠中のDV被害女性の非被害女性に対するORは1.36(95%CI:1.06, 1.75)。 メタアナリシス 1a
 前向きコホート
Cokkinides et al.
1999
USA
南カロライナ妊娠リスク評価モニタリングシステム 身体的DVありの人680人
身体的DVなしの人5,463人
身体的暴力 質問紙を郵送 DV被害者の非被害者に対する,ORは,高血圧1.3(95%CI;0.3, 5.7),腎感染症2.7(95%CI:1.3, 5.5),未熟児1.8(95%CI:1.2, 2.7),腹部外傷20.2(95%CI:1.9, 206.0)。 前向き
コホート
2b
Sutherland et al.
1998
USA
N/A 152名をリクルートし141名が参加。 N/A CTS,IPAなど DVによる心理的・身体的影響は8.5カ月後,14.5カ月後まで持続。 前向き
コホート
2c
Dietz et al.
1997
USA
9州での妊娠リスク評価モニタリングシステム 身体的DVありの人となしの人合計で27,836人(それぞれの人数は記載なし 身体的暴力 質問紙を郵送 受診が遅れることについて,DV被害者の非被害者に対するORは,1.8(95%CI:1.5, 2.1)。 前向き
コホート
3b
McFarlane et al.
1996
USA
一般の周産期クリニック 妊婦1,203人 N/A AAS, CTS, ISA, Danger Assessment Scale DV被害女性は非被害女性に比べて,2,500g未満の低出生体重児のRR1.5(95%CI:1.1, 2.2)。 前向き
コホート
1b
McFarlane et al.
1996
USA
都会の公的産科クリニック 妊婦1,203人 N/A AAS
インタビューによる自己報告
身体的暴力とタバコ,アルコール,薬物使用との間には関連性があった。 前向き
コホート
2b
Dye et al.
1995
USA
N/A 低所得者層の妊婦357人 N/A 質問紙を用いたインタビュー DV被害者の非被害者に対する胎児仮死・胎児死亡のOR3.68(95%CI:1.36, 9.94)。 前向き
コホート
1b
Schei et al.
1991
Norway
大学附属病院のED
女性保護センター
身体的DVありの人66人(大学附属病院のEDまたは女性保護センターに保護された人)
身体的DVなしの人114人(トロンドハイムの住民からのランダムサンプリングによる,20~49歳)
Strausの定義による身体的暴力 女性産科医による構造化面接
出生児平均体重は,DV経験あり3,219g,DV経験なし3,448g。
2,500g未満児の割合は,DV経験あり10.0%,DV経験なし4.3%。
前向き
コホート
2b
 後ろ向きコホート
Kernic et al.
2000
USA
ワシントン州キング郡地域 18~44歳の女性
DV被害者1,355人
DV非被害者36,532人
N/A 患者登録データの入院記録 DV被害者の非被害者に対する入院のRRは,精神科診断での入院3.6(95%CI:2.8, 4.6),強姦での入院4.9(95%CI:1.1, 22.1),自殺未遂での入院3.8(95%CI:1.6, 9.2)。 後ろ向き
コホート
4
King et al.
2000
USA
3カ所の周産期クリニック 周産期クリニックを訪れた全妊婦をスクリーニング
DV被害者233人
DV非被害者468人
N/A AAS DV被害者は非被害者に比べて,腟感染症が多い。 後ろ向き
コホート
3b
 ケース・コントロール
Leung et al.
2002
Hong Kong
Queen Mary病院 中絶を行った妊婦245人
中絶しなかった妊婦256人
N/A AAS改定版 中絶を行った妊婦では27.3%
中絶しなかった妊婦では8.2%
ケース・コントロール 2b
Valladares et al.
2002
ニカラグア
大学附属病院 2,500g未満児を出産した産婦104人
ケースと同日に出産した産婦208人
AAS
妊娠中に1回以上の身体的暴力を受けた人
著者のひとりとフィールドワーカーが分娩後8~24時間以内に面接し,被験者の10%については,もう一人が再面接を行った。面接者間の一致率はκ0.86 低出生体重児出産女性の正常体重児出産女性に対する,妊娠中の身体的暴力被害への暴露のORは3.98(95%CI:1.70, 9.31)。 ケース・コントロール 3b
Grimstad et al.
1997
Norway
大学病院の産婦人科 2,500g未満児を出産した産婦86人
2,500g以上児を出産した産婦92人
DVについての直接質問とCTS 半構造化面接でのin-depthインタビュー 低出生体重児出産女性の正常体重児出産女性に対する,身体的暴力経験の暴露のORは0.99(95%CI:0.41, 2.41)。
コメント:DVを妊娠中に受けた暴力に限定していないために,有意差がでなかった可能性あり。
ケース・コントロール 3b
Chapman
1989
USA
rape被害者センター,DV被害者シェルター,産婦人科 rape被害センター入所者30人
DV被害者シェルター入所者35人
産科受診者35人
N/A N/A 性交への恐れを抱く人の割合:DV非被害者5%,レイプ被害者60%,DV被害者48%。
性欲の障害がある人の割合:DV非被害者7%,レイプ被害者65%,DV被害者55%。
ケース・コントロール 4
 横断研究
Johnson et al.
2002
USA
周産期外来 周産期外来を訪れた578人(10代274,20代304人) 初回診察日のソーシャルワーカーによる聞き取りでの自己申告 チャート・レビュー 身体的DV被害者の非被害者に対するORは,体重増加不十分3.1,過剰増加2.4。
性的DV被害者の非被害者に対するORは,体重増加不十分3.0。
コメント:DVの有無,体重いずれも自己申告による。
横断研究 4
Champion et al.
2001
USA
N/A 949人をリクルートして612人が参加。メキシコ系419人,アフリカ系193人 N/A DV経験は自己申告
性暴力被害は質問紙を用いたインタビュー
身体的症状は問診による
DV被害者は非被害者に比べて,性感染症,身体症状,ケアを受けることに対する抵抗感をもつ人の割合が多い。 横断研究 4
Coker et al.
2000
USA
大学附属病院 家庭医を訪れた18~65歳の女性1,443人 N/A ISA,WEBS
(Women’s Experience with Battering Scale),AAS
DV被害者の非被害者に対する,過去のDV被害経験ありのオッズ比1.6(95%CI:1.2, 2.0)。 横断研究 4
Green et al.
1999
USA
学際的ペインセンター ペインセンターに来ている人で,質問紙に答えた104人のうち90人分を解析 N/A N/A DV被害者は非被害者に比べて,身体症状の訴え・精神科受診(心理的ケアの受診)割合が多い。 横断研究 4
Perciaccante et al.
1999
USA
病院の救急外来 救急外来を訪れた女性100人
15歳以上
自動車事故以外の人
チャートレビューと面接で,配偶者か性的パートナーから暴力を受けたことが特定された人 チャートレビューと面接 頭部・頸部・顔面のけがの,他の部位のけがに対する,DVありの割合の相対危険は7.5(95%CI:2.5, 22.9)。 横断研究 4
Ochs et al.
1996
USA
1病院のED 交通事故以外でのけがでEDに来院した15歳以上の人
127人
N/A 主にチャートレビュー
チャートに記載がないときにはインタビューでの自己申告
DV被害者は非被害者に比べて,頭部・頸部・顔のけがの割合が多い。 横断研究 4
Webster et al.
1996
Australia
ロイヤル女性病院 妊娠女性1,014人(過去のDV経験者242人,現在のDV経験者59人,DV経験のない人713人) N/A 質問紙を用いたインタビュー DV女性は非DV女性に比べて,喫煙,薬物使用(抗うつ薬),新生児死亡,新生児低体重の割合が多く,特に流産,2回以上の中絶の割合が高い。 横断研究 4
Talley et al.
1994
USA
ミネソタのオルムステッド郡 30~49歳の住民 N/A 質問紙を郵送 DV被害女性での過敏性腸症候群有病割合(29%)は,一般女性でのそれ(18.3%)に比べて高い。 横断研究 4
Walling et al.
1994
学際的慢性疼痛クリニック
慢性の下腹部痛の人64人
慢性頭痛の人42人
慢性疼痛のない人46人
N/A 質問紙を郵送 成人での暴力被害と身体症候との相関係数は,性的被害r=0.241,身体的被害r=0.219。 横断研究  
Webster et al.
1994
Australia
Royal Women’s病院の妊婦健診 妊婦健診に来た妊婦1,686人中1,014人 N/A インタビューと質問紙 DV歴のある人の中で,妊娠中のけがよりも非妊娠中のけがのほうが頻度は高いが,妊娠中のけがは頭頸部,胴体,腕のけがが多いことが特徴的である。 横断研究 3b
Stewart et al.
1993
Canada
妊婦クリニック
トロントの産科医院,家庭医
オンタリオの家庭医,大学附属病院
妊婦クリニックに来ている人で20週以降の妊婦,分娩入院中の人548人 N/A 自記式質問紙
(General Health Questionnaire,Fatal Health Locus of Control,Study Questionnaire)
妊娠中に被害を受けた女性の63.9%は妊娠中にabuseの程度が増加。
被害女性は非被害女性に比べて情緒的抑圧の程度が大きかった。
横断研究 3b
Berrios et al.
1991
USA
サンフランシスコ総合病院 サンフランシスコ総合病院にDVによる(自己申告)けがで来院した人全員492人にインタビューして,218人分が分析可能だった。
16~66歳女性
身体的暴力 構造化インタビュー 打撲傷(bruises),顔のけがが多い傾向あり。 横断研究 3b
Bullock et al.
1989
USA
公立病院1カ所,私立病院2カ所 産褥婦(産後6~8週)
18歳以上589人
言葉による暴力と身体的暴力の脅し
看護師によるインタビュー
チャート・レビュー
120人(20.4%)が暴力被害者,469人(80%)が非被害者。
被害産褥婦のほうが有意にLBW割合が多かった12.5%対6.6%(人種,喫煙,妊娠中の飲酒,妊娠中のケア,流産経験,母体合併症,病院の特徴で補正)。
コメント:DV診断方法がスケールを使っていないために,DV特定において不正確さがある可能性あり。
横断研究 4
Helton et al.
1987
USA
公立,私立のクリニック 無作為抽出した妊婦290人
18~43歳
N/A インタビュー 妊娠中に殴られた部位は顔,後頭部が他の部位に比べて多い。 横断研究 4
 症例集積
Attala et al.
2000
USA
シェルター シェルター入所者153人 N/A シェルターの医療記録(過去2年間)をレビュー 頭部・頸部・顔のけがが,他の部位のけがよりも多い。 症例集積 4
Schei
1991
Norway
大学附属病院のED 身体的DVありの人66人
身体的DVなしの人114人
身体的暴力 N/A 身体的DVなしの群では,離婚歴ありのなしに対する骨盤内感染症のORは7.9(95%CI:2.33, 26.74)。 症例集積 3b
 記述相関研究
Woods
2000
USA
シェルター,医療機関,一般女性集団からリクルート 160人(DV被害を受けている人53人,過去に受けたことがある人55人,非被害女性52人)18~67歳 DVに対してISA(Index of Spous Abuse)とDA
PTSD症状に対してIES(Impact of Event Scale)とSCL-PTSD(Symptom Checklist-PTSD)
自記式質問紙 身体的暴力とPTSD症状は中程度の相関があったr=0.59(IES),0.51(SCL-PTSD)。
精神的暴力とPTSD症状は高度から中程度の相関があったr=0.61(IES),0.53(SCL-PTSD)。
DAに伴う殺人とPTSD症状は高度の相関があったr=0.62(IES),0.65(SCL-PTSD)。
コメント:便宜的サンプルでありサンプル数も少ない
記述相関研究 3b

書誌情報