ガイドライン

EBMの手法による
周産期ドメスティック・バイオレンスの支援ガイドライン

書誌情報
 
第7章 推奨と解説


II DVスクリーニング

2.リスク・ファクターの探索
リスク・ファクター エビデンス・テーブル


 
著者・年・国 セッティング   対象   DV
判定方法
データ
収集方法
主要結果・
コメント
研究
デザイン
EV
レベル
 システマティック・レビュー
Wilson et al.
1996
Canada
ED,シェルターなどいろいろ N/A 自己申告などいろいろ 電話インタビューなどいろいろ Class Aの研究結果:パートナーからの暴力に関係性があったリスクファクター「ソーシャルサポート不足」「最近のストレスの大きい出来事」「最近または過去の母親の虐待」「最近または過去の母親の精神疾患」「望まない妊娠」「不適切な周産期ケア」「母親またはパートナーのアルコールまたは薬物中毒」 SR 2b
 ケース・コントロール
Sharps et al.
2001
USA
バルチモアなど10都市での住民調査 殺人または殺人未遂にあった女性380人
DV被害者384人
DV非被害者376人
CTS2 電話インタビュー パートナーがアルコール問題を抱えていると感じている女性は,そう感じていない女性に対してDV率は約8倍(ただし解析対象は60人),殺人被害者または殺人未遂被害者になる率は約2倍(解析対象は74人)
コメント:パートナーのアルコール問題の特定を,女性がそう感じているかどうかで決めている。
ケース・コントロール 4
Grisso et al.
1999
USA
1都市の中の都市病院3カ所 16〜45歳女性
ケース群(けがをしている人)405人,コントロール群520人
Demographic Dataを訊く質問紙の中に,けがの原因についての項目を含めている。 質問紙を用いた面接
DV非経験者に対して経験者で有意に1より大きかったのは,
女性: 自己効力感が低い
アルコール中毒
コカイン使用
男性: コカイン使用
逮捕歴
ケース・コントロール 4
Kyriacou et al.
1999
USA
大学附属病院の救急部8カ所 救急部に来た女性
18〜64歳
ケース群(現在または最近の男性パートナーから2週間以内にけがをさせられた人)256人,コントロール群659人
質問紙 質問紙を用いた面接。
面接する人はトレーニングを受けた。
DV非経験者に対して経験者で有意に1より大きかった(ロジスティック回帰分析)のは,女性:高卒以上学歴OR2.7(95%CI:1.4, 5.0),男性:高卒以下学歴OR 2.5(95%CI:1.4, 4.4),失業OR 2.7(95%CI:1.2, 6.5),アルコール中毒OR3.6(95%CI:2.2, 5.9),薬物中毒OR3.5(95%CI:2.0, 6.4) ケース・コントロール 4
Kyriacou et al.
1998
USA
ED
UCLAメディカルセンター
EDに来た女性138人
16〜65歳
男性パートナーからの身体的暴力を自己申告した人をケース46人ケース以外の人をコントロール92人
Not available(N/A) 面接 DVあり・なし群間で統計学的有意差が認められたのは,パートナーのアルコール中毒ありのOR 12.94(95%CI:2.67, 62.57)
コメント:DV経験を女性の自己申告で特定しており,DVが疑われても外傷なしの人は対象からはずしている。
ケース・コントロール 4
Roberts et al.
1997
Australia
オーストラリアの主要な公立病院の救急部 救急部に来た女性
ケース群(DV自己申告)141人,コントロール群141人
自己申告 経験のある精神科医によるチャート・レビュー DV非経験者に対して経験者で有意に1より大きかった(ロジスティック回帰分析)のは,surgical diagnosisがないことOR 2.17(95%CI:1.11, 4.23),精神疾患OR 1.09(95%CI:0.90, 1.31)
コメント:ロジスティック回帰モデルで交絡調整を行っているが,症例数が少ないため,ロジスティックモデルのあてはめの妥当性が低い。
ケース・コントロール 4
 横断研究
Richardson et al.
2002
UK
ロンドンの一般病院13カ所 16歳以上の女性
1,207人
N/A 質問紙を用いた面接
チャート・レビュー
ロジスティック回帰分析で調整したORで,DVありがなしに対して1より有意に大きかったリスク因子は,離婚歴
45歳以下
無職
横断研究 4
Coid et al.
2001
UK
ロンドンの一般病院13カ所 16歳以上の女性 身体的,性的暴力についての1つ以上の質問を行ってyesと答えた人 N/A 女性700人のデータで,16歳未満のときに暴力を振るわれた経験が複数回あるという経験が,16歳以降にDV被害を受けることへの寄与度のORは,3.58(95%CI:2.06, 6.20) 横断研究 4
Muhajarine et al.
1999
Canada
妊婦健診 妊婦健診728人 AAS 面接
妊娠初期,中期,末期に各1回
DV発生が有意に高かったのは,「原住民」「ストレス」「人生での不幸」「いっしょに楽しむ人がいた」「パートナーがアルコール問題を抱えている」 横断研究 4
Dearwater et al.
1998
USA
ペンシルバニアとカリフォルニアの11地域の病院の救急部 救急部に来た女性
18歳以上3,455人
(4,641人が対象候補だった)
PSSS(Patient Satisfaction and Safety Survey):18項目の質問 質問紙を用いた面接 DV経験ありの人の割合14.4%,DVによる急性トラウマの人の割合2.2%。
身体的・精神的DVによる急性トラウマ発症に関するリスク因子への曝露のORは,
18〜39歳 2.2
月収1,000ドル以下 1.7
18歳未満の子どもがいる 2.0
パートナーとの関係が終わっている 7.0
コメント:DV経験者の中におけるリスク因子ではなく,DVで急性トラウマを発症している人の中でのリスク因子を分析している。
横断研究 4
Greenberg et al.
1997
USA
N/A 性器出血でEDを訪れた妊娠女性261人 N/A ・AAS
・DAS
33.3%にDVあり
コメント:DV被害女性に多い症状として性器出血をあげられるかどうか?
横断研究 4
McFarlane et al.
1995
USA
公立病院のED
2カ所,私立病院のED 1カ所
性器出血の主訴で来院した女性で大人・子どもがいっしょに来ていない人416人 2つの質問によるAbuse screen。
14項目によるDA
インタビュー 白人でのDV割合58%
黒人でのDV割合34%
ヒスパニックでのDV割合31%
横断研究 4
Amaro et al.
1990
USA
ボストンの女性・児童・出生前クリニック クリニックに来た日と全員をリクルート対象とし,1,303人のデータを得た。 妊娠前3カ月から面接の日までに受けた暴力 妊娠中と出産後に,訓練を受けた人による面接を行い,暴力を受けたかどうかについて質問する。 パートナーの薬物使用のORが1.51(95%CI:1.09, 2.07)から2.26(95%CI:1.19, 4.30)
コメント:米国での妊産婦1,300人対象の調査では,DV被害とパートナーの薬物使用との関連性が示されている。
横断研究 3b
Bergman et al.
1987
Sweden
外科の救急外来 98人のDV被害女性中から49人がDV治療対象に選択された.
DV以外での入院女性49人を対照とした。
夫またはパートナー(steady companion)からの暴力を受けた人 面接と質問紙(test) DV被害女性は非被害女性に比べて,アルコール依存者の割合が有意に高い(24%対8%)
コメント:対象数が少なく,DV診断方法の記載がない。
横断研究 4
 症例集積
Kataoka
2004
Japan
産科外来での妊婦健診 妊婦健診を受診している妊婦328人 ISA(Index of Spouse Abuse)
DVS(Domestic Violence Screen):DV陽性は9点以上
DVSを用いた,面接(介入)または自記式質問紙(対照) 面接による介入群(19.4%)のほうが自記式での対照群(29.4%)よりも,DV発見割合は有意に低かった(OR0.59, 95%CI:0.35, 0.98 )。
DV陽性者と陰性者の要因分析から,陽性者の陰性者に対する経産婦割合のORは2.28(95%CI:1.28, 4.06)。
コメント:スクリーニングの尺度開発とその尺度の有効性についてのRCTを同時に実施しているため,RCTにおいて実際に対象に用いた尺度項目と,RCT結果解析時に用いた尺度項目とが異なっている。
症例集積 4
Gilbert et al.
2000
USA
ハーレムのメサドン・クリニック(薬物中毒治療クリニック) 薬物中毒治療のためにクリニックに通院する女性
18〜55歳
147人
身体的,性的暴力について質問してyesの人 構造化面接 DVありのORは,90日以内コンドーム使用ありがなしの場合に対して0.41(95%CI:0.17, 0.99),過去1年のSTDでは3.66(95%CI:1.57, 8.53),過去1年のお金のためのセックス2.37(95%CI:1.05, 5.38),30日以内のHIV(+)の人とセックス2.47(95%CI:1.00, 6.10)。 症例集積 4
Gielen et al.
1994
USA
都会の大規模な教育病院の周産期クリニック 妊娠女性275人 CTS 質問紙で面接,電話インタビュー 中等度,重度の暴力は妊娠後期(19%)よりも産褥期(25%)に多い。
DVありのORはパートナーのDrug Useありの場合がなしの場合に対して24.78(95%CI 4.04, 148.41)。
コメント:対象の92%がアフリカ系アメリカ人,低所得者層に偏っている。
症例集積 4
 記述相関研究
Martin et al.
1996
USA
ノースカロライナ健康センター ノースカロライナ健康センターに来た妊婦2,092人
20〜39歳
AAS
薬物使用(タバコ,アルコール,ドラッグ)の確認は聞き取りによる。
AASを用いた聞き取りと薬物使用についての聞き取り DV被害者になることへの,妊娠前または妊娠中の薬物使用の寄与度のORは,妊娠前の薬物使用3.02(95%CI:2.51, 3.62),妊娠中の薬物使用3.28(95%CI:2.68, 4.02)。 記述相関研究 3b

 

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