ガイドライン

EBMの手法による
周産期ドメスティック・バイオレンスの支援ガイドライン

書誌情報
 
第4章 ドメスティック・バイオレンスの実態


I 周産期の被害実態

周産期の被害実態 エビデンス・テーブル

 
著者・年・国 セッティング  対象  DV
判定方法
データ
収集方法
主要結果・
コメント
研究
デザイン
エビデンス
・レベル
 シスマティック・レビュー
Gazmararian et al.
1996
USA
  妊婦のDV被害割合に関する研究13文献   データベース (Medline, Popline, Psychological Ab-stracts, Sociological Database)を使用。
1963年〜1995年8月まで
妊娠中のDV被害割合は,0.9%から20.1%までと幅があった。ばらつきはDVの同定方法,対象集団の相違による。DV同定の回数が多いほど,発見率は高くなっていた。
コメント:各研究のエビデンス・レベルの記載がない。
システマティック・レビュー 3a
 前向きコホート
Harrykissoon et al.
2002
USA
大学病院 出産後570人
(3,6,12,24カ月)
思春期女性
AAS,ISA 面接 親密なパートナーからの暴力は,産後3カ月以内が21%と最も高く,24カ月13%と最も低い。妊娠中に暴力を受けていた女性の75%は産後にも暴力を受けていた。 前向きコホート 3b
McFarlane et al.
1999
USA
公的クリニック 虐待被害者の妊婦199名 ISA,DA,SVAWS 面接 妊娠前1年間に虐待あったもの60名(30.2%),妊娠前1年間はなく,妊娠中に虐待を受ける35名(18.1%),妊娠前1年間および妊娠中に虐待を受けていた103人(63%)。最後の103人は,他のグループに比べて虐待の程度が深刻であった。 前向きコホート 3b
McFarlane et al.
1999
USA
都市部の公的妊婦健診クリニック 虐待被害者の女性121名 AAS 面接 妊娠前1年前に虐待あった84%,妊娠中にも虐待あり68%。産後6カ月後44.6%が1年後には67.8%に虐待がなくなった。 前向きコホート 3b
McFarlane et al.
1996
USA
都市部の公的妊婦健診クリニック 妊婦1,203人 AAS 面接・観察 妊娠中に身体的暴力は16%。1年以内に暴力ありの人は,293人(24.3%)。 前向きコホート 3b
McFarlane et al.
1995
USA
公的妊婦健診クリニック 妊婦1,203人 AAS,CTS,ISA,DA 質問紙 妊婦の16%が,妊娠中の身体的暴力を経験していた。妊娠中に暴力を受けていた人は,暴力を受けた経験はあるが妊娠中にはなかった人に比べ,すべての暴力の程度を測定する尺度で,有意に高い値が示された。したがって,妊娠中の暴力の頻度と程度は重症であり,殺人に至るリスクも高い。 前向きコホート 3b
 ケース・コントロール
Johnson et al.
2002
USA
都市部の妊婦健診クリニック 妊婦744名(低所得者)   面接と観察 STDは,虐待あり妊婦が虐待なしの妊婦に比べて罹患率が高い(OR 1.69, 95%CI:1.12, 2.55)。STDの罹患率を虐待の内容別にみると,性的暴力OR2.14(95%CI:1.10, 4.03),性的暴力と身体的暴力の両方では,OR 2.97(95%CI:1.49, 5.78)であった。
コメント:虐待の判定方法が標準化されていない。
ケース・コントロール 3b
McFarlane et al.
2002
USA
10州からランダム抽出 殺人,殺人未遂のケース群と虐待のあったコントロール群 DA 面接 コントロール群の7.8%,殺人未遂群の25.8%が,妊娠中に虐待を受けていた。殺人未遂あるいは殺人の被害者となった女性は,殺人や殺人未遂には至らなかった女性と比べ,妊娠中に虐待を受けていた割合が3.08倍(OR3.08, 95%CI:1.86, 5.1)高率であった。妊娠中に虐待のあった人は,なかった人より暴力の程度が深刻であった。 ケース・コントロール 4
 横断研究
Rachana et al.
2002
SaudiArabia
大学病院 妊婦7,105人を継続的にデータ収集   自己報告・診療録 妊娠中の暴力の結果として,未熟児の出産OR3.4(95%CI:1.4, 2.8),妊娠中の入院OR 1.5(95%CI:1.1, 2.0)であった。 横断研究 3b
Martin et al.
2001
USA
州の監視システムから抽出 出産後の女性2,648人   電話・手紙 暴力の被害率は,妊娠前6.9%(95%CI:5.6, 8.2),妊娠中6.1%(95%CI:4.8, 7.4),出産後3.6カ月後3.2(95%CI:2.3, 4.1)であった。 横断研究 3b
Stenson et al.
2001
Sweden
大学病院 妊婦1,038人 AAS 面接・観察 前回の妊婦健診以降のDV被害は1.3%,これまでに数回,身体・情緒・性的暴力にあった人は19.4%であった。 横断研究 4
Irion, O.
2000
Switzerland
大学病院 妊婦206名 AA 自記式質問紙 妊娠中の身体的暴力は3%,妊娠前は10%であった。 横断研究 3b
Goodwin et al.
2000
USA
異なる州からのランダム抽出 妊婦34,835人   自記式質問紙 妊婦全体の8.8%が虐待あり。虐待があった女性のうち,望まない妊娠であったのは66%であった。一方,虐待のなかった女性のうち,望まない妊娠は42%であった。 横断研究 4
Hedin et al.
1999
Swedin
大都市の妊婦クリニック 247人の妊婦 CTS,AAS 面接 27.5%が,身体的暴力をこれまでに受けたことがある。過去1年以内の身体・性・脅しを受けたものは,24.5%。妊娠中にもときどき受けていた。 横断研究 4
Leung et al.
1999
HongKong
民間病院 妊婦631人 AAS 面接 妊婦631人のうち99人(15.7%)が過去1年間のうちにDVがあった。性的虐待は59人(9.4%)であり,夫が加害者の場合が最も多い。妊娠中は,精神的虐待が身体的虐待より多い。 横断研究 3b
Glander et al.
1998
USA
クリニック 人工妊娠中絶を求める女性486名   自記式質問紙 中絶を望む女性の39.5%にDVが報告された。中絶のひとつの理由が,関係性の問題とした人は,虐待歴のある人に有意に多い。虐待歴のある人は,ない人に比べてパートナーに妊娠を告げたり,中絶の決定の際パートナーのサポートや関わりが少なかった。 横断研究 3b
Greenberg et al.
1997
USA
大都市の公立・民間医療機関 救急外来に性器出血で来た261名妊婦 AAS,DAS 面接と観察 性器出血があった妊婦の身体的虐待の割合は87名(33.3%)であった。 横断研究 4
Webster et al.
1994
Australia
公立の妊婦クリニック 1,014人の妊婦   面接と観察 29.7%(301人)の妊婦が過去に虐待を受けていた。そのうちの5.9%(59人)は妊娠中も虐待を受けていた。妊娠36週では8.9%であった。DVで治療を受けた31%の人が妊娠中であった。 横断研究 4
Parker et al.
1993
USA
公的妊婦健診クリニック 妊婦691名 AAS,ISA 面接 身体的・性的虐待の被害率は,26%であった。ティーンエイジは215人中36.1%,成人479人中23.6%と,ティーンエイジのほうが高率だった。 横断研究 3b
Stewart et al.
1993
Canada
地域の妊婦クリニック(民間・大学・開業医含む) 妊婦548名   自己報告 36人(6.6%)が現在の妊娠中に虐待を受け,60人(10.9%)が以前に虐待を受けていた。妊娠中に虐待を受けた女性のうち,63.9%は妊娠中に虐待が増加した。 横断研究 4
Helton et al.
1987
USA
公的・民間の妊婦健診クリニック 妊婦290人   面接・観察 24人(8%)は,現在の妊娠中に虐待を受け,44人は現在の妊娠前に受けていた。 横断研究 4
 症例集積
Kataoka
2004
Japan
産科病院 妊婦328人 VAWS,日本語版ISA 面接,質問紙 妊婦のDV被害割合は,VAWSを用いると24%であり,日本語版ISAを用いると5%であった。 症例集積 4
Jacoby et al.
1999
USA
非営利独立保健クリニック 低所得者層の思春期女性100名   診療録 暴力や虐待「あり」の人は「ない」人に比べて,1年以内の妊娠(RapidRepeatPregnancy)が3.46倍であった。 症例集積 4
Stewart DE
1994
Canada
周産期クリニック等 身体的暴力被害を受けた女性30人   質問紙,面接 妊娠中に身体的暴力被害を受けた女性30人中27人(90%)で,産後も暴力被害を受けていた。 症例集積 4

 

書誌情報