ガイドライン

EBMの手法による
周産期ドメスティック・バイオレンスの支援ガイドライン

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第7章 推奨と解説


II DVスクリーニング

3.臨床症状の探索

2)胎児または新生児

(1)低出生体重児

CQ 17: DVの臨床指標として,低出生体重児出産に注意すべきか?
推奨度A DVの探索においては,低出生体重児を出産した場合には,特に注意する。


解 説
身体的,精神的,性的暴力被害と低出生体重児との関係については,妊婦のDV被害に関するメタアナリシスにより,暴力を受けている妊婦は,受けていない妊婦に比べて低出生体重児を出産する確率が1.36倍(OR 1.36, 95%CI:1.06, 1.75)高いことが明らかにされている(Murphy et al., 2001レベル1a)。また,米国での妊婦1,203人対象のコホート研究によれば,低出生体重児を出産するRRは,非被害妊婦に対してDV被害妊婦では1.5(95%CI:1.1, 2.2)であり,DV被害により低出生体重児を出産するリスクが1.5倍に増加することが示されている(McFarlane et al., 1996レベル1b)。
ノルウェーの大学付属病院救急部と女性保護センターを訪れた女性,および1地域住民からのランダムサンプルによる合計180人対象のコホート研究では,DV経験ありの人ではなしの人に比べて,出生児平均体重が少なく,2,500g未満の低出生体重児を生む割合は有意に高かった(10% vs 4.3%)とされている(Schei et al., 1991レベル2b)。
さらに,身体的暴力の程度が重いほど,新生児の体重が少なかったことも報告されている(McFarlane et al., 1996レベル2b)。
また,米国における589人の産褥婦を対象とした横断研究でも,低出生体重児を生んだ女性の割合は,妊娠中に暴力を受けていない女性では6.6%であったのに対し,暴力を受けていた女性では12.5%と有意に高率であったことが示されている(Bullock et al., 1989レベル4)。

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