ガイドライン

EBMの手法による
周産期ドメスティック・バイオレンスの支援ガイドライン

書誌情報
 
第7章 推奨と解説


II DVスクリーニング

1.DVの有無について質問する:DVのスクリーニング

7)スクリーニングの実施方法


CQ 8: DVスクリーニングはどのような方法で行うのが適切か?
推奨度B DVスクリーニングは,スクリーニング用紙に自分で記入してもらう方法で行う。


解 説
DVスクリーニングの実施方法について,どのような方法を用いたら,スクリーニング率が上昇するかについて3論文で検討されている。Gerbertら(1999レベル2b)は,HIV,飲酒,ドラッグ,喫煙,DV,口腔の清潔,シートベルトの着用といった医療者に打ち明けにくい事項に関して,自記式,対面式インタビュー,オーディオ,VTR,コンピュータの5つの方法のうち,どの方法を用いると打ち明ける率が高いかについて,プライマリ・ケアクリニックの患者1,952名を対象にRCTで検討を行った。その結果,どの方法でも発見率に差はなかったことを報告している。DVについては,インタビューでは29%,自記式では33%であり(RR0.88, 95%CI:0.71, 1.08)差は認められなかった。
McFarlaneら(1991レベル4)は,前後比較研究デザインで,AASを用いた看護師によるインタビューと質問紙による方法で,どちらにDVの発見率が高いか検討した。米国テキサスで777名の産婦人科クリニック患者を対象とした結果,インタビューのほうが約4倍DVの発見率が高かったことを報告している(RR4.01, 95%CI:1.73, 8.06)。
328名の妊婦を対象に日本で実施されたRCTでは,VAWSを用いた看護者のインタビューは,プライバシーの守れる場所で自分で記入する方法よりも,DV発見率は低かった(インタビュー19.4% vs 自記式29.4%;OR 0.59, 95% CI:0.35, 0.98)ことが報告されている(Kataoka, 2004レベル1b)。
DVのスクリーニング方法として,対面式のインタビューと自記式のどちらがよいかを検討したこれらの3研究は,それぞれ異なった研究結果を出している。エビデンス・レベルは3研究とも同一であるため,日本で行われている片岡の結果「プライバシーの守れる場所での自記式のほうが発見率が高い」を推奨に採択した。

 

書誌情報