ガイドライン

EBMの手法による
周産期ドメスティック・バイオレンスの支援ガイドライン

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第7章 推奨と解説


II DVスクリーニング

1.DVの有無について質問する:DVのスクリーニング

6)スクリーニング用具


CQ 7: DVスクリーニングに有効なスクリーニング用具は何か?
推奨度B DVスクリーニング用具は,「女性の虐待アセスメント尺度」「パートナーの暴力判定尺度」「女性に対する暴力スクリーニング尺度」のいずれかを用いる。


解 説
DV被害女性を医療の中で,正確にまた効率的に見つけ出すスクリーニング用具の信頼性と妥当性が検討されている。これらのスクリーニング用具は,多忙な医療現場において適用できるように,簡便に,しかも短時間で実施できるよう工夫されている。
これらのスクリーニング用具のゴールドスタンダード(至適基準)としては,DVの程度(女性が知覚した暴力の種類と頻度)を測定する標準化された尺度Conflict Tactics Scale(Straus, 1979)あるいはIndex of Spouse Abuse(Hudson et al, 1981)が用いられている。スクリーニング用具の質の評価から以下の3つのスクリーニング用具(資料6-1,2,3参照)が勧められる。「女性の虐待アセスメント尺度:Abuse Assessment Screen」(McFarlane et al.1992レベル2b),「パートナーの暴力判定尺度:Partner Violence Screen」(Feldhaus et al., 1997レベル2b),「女性に対する暴力スクリーニング尺度:Violence Against Women Screen」(Kataoka, 2004レベル2b)。米国で開発された「女性の虐待アセスメント尺度」と「パートナーの暴力判定尺度」は,USPSTF(米国予防医療専門委員会)のレビューにおいてもその使用が推奨されている(2004レベル1a)。

(1)女性の虐待アセスメント尺度(資料6-1):Abuse Assessment Screen(AAS)
「女性の虐待アセスメント尺度」は,妊娠中の女性の身体的ならびに性的な虐待をアセスメントするスクリーニングテストである。「はい」「いいえ」で回答する形式で,3項目から構成される。この尺度は,ゴールドスタンダードとしてCTSおよびISAを用いており,ISAを基準にすると感度は93%,特異度は55%と報告されている(Weiss et al., 2003 )。周産期において多くの調査で使用されており,さらに他の患者集団にも適用が試みられている。また,スクリーニング後にDVの程度をアセスメントできるようにスクリーニングフォーマット(記録用紙として)が作成されている。

(2)パートナーの暴力判定尺度(資料6-2):Partner Violence Screen(PVS)
「パートナーの暴力判定尺度」は,救急外来での使用を目的として開発されたが,周産期においても適用可能なスクリーニング用具である。「パートナーの暴力判定尺度」は,身体的暴力と女性の安全の認識を判断する3つの質問項目で構成される。米国で救急外来を受診した女性491名を対象にCTSおよびISAをゴールドスタンダードとして,その感度および特異度が報告されている。ISAを基準としたとき,感度は64.5%,特異度は80.3%であった(Feldhaus et al., 1997レベル2b)。この報告には,ゴールドスタンダードであるISAおよびCTSと「パートナーの暴力判定尺度」を独立に,かつ盲検化して測定したことも記述されている。

(3)女性に対する暴力スクリーニング尺度(資料6-3):Violence Against Women Screen(VAWS)
「女性に対する暴力スクリーニング尺度」は,日本で開発された唯一のDVスクリーニング用具であり,7項目からなる3段階リカート尺度である。因子分析による構成概念妥当性,General Health Questionnaireおよび自尊感情尺度との併存妥当性が検討されている。信頼性を示すCronbach αは0.70であった。妊婦328名を対象とした調査で日本語版ISAをゴールドスタンダードとしたとき,感度86.7%,特異度80.2%であったことが報告されている(Kataoka, 2004レベル2b)。

 

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