ガイドライン

EBMの手法による
周産期ドメスティック・バイオレンスの支援ガイドライン

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第7章 推奨と解説


II DVスクリーニング

1.DVの有無について質問する:DVのスクリーニング

1)妊婦健康診査におけるDVのスクリーニングの導入


CQ 3: 周産期ケアの場で,DVのスクリーニングは必要か?
推奨度B 周産期ケアの場で,妊婦および産婦に対して,DVに関するスクリーニングを行う。


解 説
健康診査にて新しくスクリーニングを加えるかどうかを判断する基準は,事象・疾患の及ぼす影響の強さ,よいスクリーニング用具があるか,効果的な治療・介入があるかについて考慮する必要がある(フレッチャーR.H.ら, 1999 )。第4章ドメスティック・バイオレンスの実態でも示されているように,妊娠・出産・育児中の女性に対するパートナー・夫からの暴力は決して稀なことではなく,女性および胎児の健康に多大な影響を及ぼすことが報告されている。現在では,後に示すような質の高いスクリーニング用具もあるため,周産期ケア施設において,すべての妊婦および産婦に対して,DVスクリーニングを実施することが勧められる。
DV発見後の介入が女性のQOL,健康,暴力の継続性などの長期および短期的なアウトカムを改善するというエビデンスは十分とは言えないが(MacMillan et al., 2001レベル1aRamsay et al., 2002レベル1a),日本においても「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律」(2001)により地域におけるDV被害者支援体制が整いつつある現在,医療において潜在的なDV被害を発見することは,推進されるべきであろう。
医療者からDVについて質問されることについて,オーストラリアの1,313名の妊婦を対象とした調査では96%が「よい考え」と回答し(Webster et al., 2001年レベル4),アイルランドの調査(Bradley et al., 2002レベル4)でも同様の結果が得られている。スウェーデンの妊婦879名を対象に実際のスクリーニングを行った後の調査では,約80%が不快ではなかったと回答したことを報告している(Stenson et al., 2001レベル4)。
しかしながら,医療の中でスクリーニングすることによる害(例えば,パートナー・夫からの暴力の悪化や医療者からの二次被害)については報告されておらず,今後検討すべき課題である(Ramsayet al., 2002レベル1a)。

 

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