ガイドライン

EBMの手法による
周産期ドメスティック・バイオレンスの支援ガイドライン

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第4章 ドメスティック・バイオレンスの実態


II 一般女性の被害実態

2. DV被害の特徴

文化的背景
被害女性の対処行動(コーピング)を日系米国移民女性で調べた研究では,日本生まれの女性は,米国生まれの女性に比べて,消極的対処方法が効果的であると考えている人が多いことが報告され,DVの対処方法には,文化背景を考慮するべきであると指摘している(Yoshihama., 2002レベル4)。

自殺企図
DV被害者を対象とした調査では,自殺企図のリスク・ファクターとしては,うつ症状や失望,薬物中毒,育児放棄の体験が挙げられた(Thompson et al., 2002レベル3b)。

子どもへの虐待
女性が配偶者から虐待を受けている場合の,その女性による子どもへの虐待の発生頻度を調べた調査結果によると,夫から妻への虐待がある家庭は,ない家庭に比べて約2倍の頻度で,子どもへの虐待が起こっていた(Rumn et al., 2000レベル2b)。
同様に,夫から妻への虐待あり群の,虐待なし群に対する子どもへの虐待を起こさせる相対危険は1.69であり,すなわち妻への虐待があることは,子どもへの虐待発生を70%増加させるとの報告もある(Tajima, 2000レベル4)。

医療費
18歳以上の女性について,医療記録からDV被害が特定された62人と,一般受診女性2,287人を比較した調査によると,DV被害者には,一般受診女性の2.3倍の医療費が使われていた(Ulrich et al., 2003)。また,DV被害者は,年間の医療費請求が多く,特に救急医療や精神科外来,自費診療の利用率が多かったことが報告されている(Winser et al., 1999レベル4)。このことは,いかに被害女性たちが医療に助けを求めており,医療との接点を持っているかを示唆している。


 

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