ガイドライン

EBMの手法による
周産期ドメスティック・バイオレンスの支援ガイドライン

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第1章 緒言


III 基盤となる概念

本ガイドラインにおけるDV被害女性へのケアは,Women-centered Care4,5の理念に基づいて行う。Women-centered Care(女性を中心にしたケア)では,女性の健康に対する社会的・文化的・政治的な影響を重視し,女性の総合的なWell-beingを目標とする。それぞれの女性が自ら定義する健康を志向する権利の保障のもと,女性が持つ力を十分に発揮できるよう支援する。
家庭の中で暴力が行われる場合,「男性からの支配とコントロール」により,女性が力を奪われ,無力感,セルフエスティームの低下などの弊害をきたすことになる。女性が自分の力を取り戻し,身体的,精神的,および社会的な健康を高めていくためには,Women-centered Careの原則に則って,医療・福祉を提供していくことが大切である。Women-centered Careの中心概念は,「尊重」,「安全」,「意思決定」,「エンパワー」などの要素を核とする。第一義に,個人としての女性の立場が尊重され,対等な関係として扱われることが重要である。そして,女性が尊重されることによって,選択の自由が生まれ,女性自身の意思決定が促され,その結果として女性がエンパワーされる。さらには,女性の自律へとつながっていくのである。
医療者のとるべきWomen-centered Careの基本姿勢は,個人としての対象者を尊重すること,対等の位置に立つこと,相手を脅かさないケアを行うこと,女性とともにある協働の立場にあることが重要である。そしてどのような場合にも,本人の希望が最優先されるものであり,医療者が行いたいことが,必ずしも行ってよいことにはならないという原則に立つ。



4 Hills, M., & Mullett, J.(2002). Women-centred care:working collaboratively to develop gender inclusive health policy. Health Care Women Int, 23(1), 84-97.
5 Tinkler, A., & Quinney, D.(1998). Team midwifery:the influence of the midwife-woman relationship on women’s experiences and perceptions of maternity care. J Adv Nurs, 28(1), 30-35.

 

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