ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

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第XIII章 特殊な胆道炎


5. 膵胆道悪性腫瘍に伴う急性胆道炎
2)急性胆嚢炎
Q123. 胆嚢癌を合併した急性胆嚢炎の初期診療方針は?

初期治療を開始すると同時に重症度評価を行う。可及的に術前検査を進め,可能な限り一期的に根治術を行うように努める。

術前の胆嚢ドレナージは,ドレナージ瘻孔部の再発や癌性腹膜炎などのリスクがあるのでできる限り行わない。

急性胆嚢炎を合併した胆嚢癌の予後は,胆嚢癌自体の進行度に規定され,胆嚢炎の合併には影響されないという報告(レベル4)10) もあるが,急性胆嚢炎を合併した胆嚢癌の多くは予後不良である(レベル4)11,12,13,14,15)。急性胆嚢炎を合併した胆嚢癌では,癌の術前診断が困難な場合が多く,急性胆嚢炎として手術が施行され,術中や術後に胆嚢癌と診断されることもまれではない。術後に胆嚢癌と診断された場合,深達度mp癌以上では二期的な根治手術の適応となる(レベル4)16)。しかし,炎症が非常に高度な症例では,正確な癌の進展度の判定に基づいた術式の選択が極めて困難である(レベル4)10)。また,腹腔鏡下胆嚢摘出術後に胆嚢癌と診断された症例では,癌性腹膜炎やポート部再発の危険性もある。 したがって,胆嚢癌を合併している,あるいは胆嚢癌が疑われた急性胆嚢炎では,初期治療を開始すると同時に,可急的に術前検査を進め,可能な限り一期的に根治術を行うように努める。
一方,経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD:percutaneous transhepatic gallbladder drainage)による胆汁細胞診(洗浄細胞診,吸引細胞診)が,胆嚢癌の診断に有用であることが報告されている(レベル4)17,18,19)。 しかし,PTGBDはドレナージチューブが画像診断の妨げとなる場合があることや,ドレナージ瘻孔部に癌が再発した症例もある(レベル4)20)。したがって,胆嚢癌を合併している,あるいは胆嚢癌が疑われた症例で,急性胆嚢炎に対する胆嚢ドレナージが必要な場合には,ドレナージ瘻孔部の再発や癌性腹膜炎などのリスクがある。 「第XI章/3./3)/Q99.急性胆嚢炎で胆嚢ドレナージが必要な場合,手技として何を選択したらよいのか?」参照)

 

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