ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

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第XIII章 特殊な胆道炎


1. 小児の胆道炎
Q107. 小児急性胆道炎の診断は?

・小児急性胆管炎の診断は下記の診断基準案を参照。特に胆道閉鎖症術後患者に留意が必要である。
・小児急性胆嚢炎の診断は成人に準ずる。

〈小児急性胆管炎診断基準案〉
・胆道閉鎖症術後患児で38℃ 以上の発熱があれば急性胆道炎疑診。
・胆道拡張症術後,肝移植術後患児で38℃ 以上の発熱,白血球数あるいはCRPの上昇,トランスアミナーゼ値の上昇を認めれば急性胆管炎確診。
・腹部超音波所見で胆管内にスラッジまたは結石を認め,38℃ 以上の発熱,白血球数あるいはCRPの上昇,トランスアミナーゼ値の上昇を認めれば急性胆管炎確診。

小児急性胆管炎の症例の大部分は胆道閉鎖症,胆管拡張症,肝移植など胆道系手術の術後患児に発症する。 腹痛,発熱を主症状とする患児では既往暦,手術暦の聴取は必須であり上記疾患の既往があれば特に急性胆道炎を念頭に診断を進める。 また,上記の小児胆管炎診断指針は,エビデンスに基づく診断基準としてのものではなく指針案である。
胆道閉鎖症の術後胆管炎は38℃ 以上の発熱をほぼ全例に認める。 他に胆汁排泄量低下,白血球増多,CRP高値,血漿ビリルビン値増加,ALP増加などを認める場合がある(レベル4)7,8,9)。 しかし,確実に認められる所見は熱発のみであり,たとえウイルス感染や感冒性消化不良などによる発熱であっても,脱水,全身の免疫力の低下が誘因となり胆管炎を併発することが多い(レベル4)10)。 また,発熱と胆汁排泄量低下(灰白色便)のみを認めたもののうち約半数はのちに血漿ビリルビン値の上昇を認めたという報告もあり(レベル4)10),発熱のみを症状とする場合であっても胆管炎を念頭に早期治療を開始することが望ましい。 そのため,胆道閉鎖症術後の熱発症例では急性胆管炎疑診とし,急性胆管炎に準じた治療を開始することが望ましい。 また,小児に多い急性上気道炎,急性ウイルス性腸炎(ロタウイルス腸炎など)との鑑別が大切であり,胆道拡張症,肝移植術後患児にそれらが合併した場合,診断は一層困難となる。
手術歴のない小児急性胆管炎の診断は超音波所見,血液生化学所見,理学所見を総合し行うべきであり,常に急性胆管炎の可能性を念頭に置くことが重要である。

〈小児急性胆嚢炎診断基準案〉
発熱,腹痛などの症状を伴い,腹部超音波所見で胆嚢炎所見を認める場合に確診。

急性胆嚢炎の診断上重要な所見は発熱,嘔吐,右季肋部圧痛,腹痛(自発痛),黄疸などである(レベル4)6)。これについては,日本小児外科学会アンケートでは,発熱と腹痛が診断に有用であるという施設が85% 以上である(レベル4)11)。また,血液生化学的検査では,白血球数,血漿ビリルビン値,ALP,AST,ALT値の上昇がみられる(レベル4)6)。しかし,同アンケート結果では,血液生化学的検査は診断の必要条件となっていない(レベル4)11)。小児においても成人と同様,診断には腹部超音波検査が有用である(レベル3b〜4)2,6)

 

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