ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

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第XII章 急性胆嚢炎 -手術法の選択とタイミング-



Q101. 急性胆嚢炎に対する適切な手術時期は?

入院後早期の胆嚢摘出術が望ましい。(推奨度B)

急性胆嚢炎の手術時期は,従来はまず保存的治療を行い,炎症消退後に切除術を行うのが一般的とされてきた。 しかし1970年から80年にかけて,欧米では早期手術と待機手術とを比較した無作為化比較対照試験(RCT)が行われ,早期手術(発症より3〜4日)と待機手術(発症より4ヶ月後まで)では,出血量,手術時間,合併症の発生率に差はなく,入院期間を短縮でき,患者の苦痛を早く取り去ることのできる早期手術が望ましいとする結果が得られてきた(レベル1b〜3b)6,7,8,9,10)
最近では急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術が積極的に行われ,腹腔鏡下胆嚢摘出術による急性胆嚢炎例の手術時期についての検討がなされている。 急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術の手術時期に関するRCTによる検討(レベル1b)11,12,13) では,入院後72時間以内に行う腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った早期手術群と保存的治療後に待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った待機手術群の比較において,早期手術群では開腹移行率は11%〜24%,合併症発生率は4〜13%,全入院期間は5.4日〜7.6日(表1)と良好な結果であった。 このことから急性胆嚢炎の外科的治療として入院後早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術による治療法を選択することが望ましい。
しかし一方で,これらの報告の検討対象は胆嚢穿孔,汎発性腹膜炎を生じた症例,心肺の重篤な合併症を有する症例,黄疸,胆管拡張などの胆管結石,悪性腫瘍の合併が疑われる症例,胆嚢炎の診断に疑いのある症例や無石胆嚢炎症例が除外されていることに注意しなければならない。

表1 早期手術と待機的手術での腹腔鏡下胆嚢摘出術の比較
報告者 症例数  早期手術 
開腹率 
待機手術 
開腹率 
早期手術 
術後合併症 
待機手術 
術後合併症 
早期手術 
入院期間 
待機手術 
入院期間 
 Lo,et al11) 86  11%  23%  13%  29%  6日  11日 
 Lai,et al12) 104  21%  24%  9%  8%  7.6日  11.6日 
 Chandler,et al13) 43  24%  36%  4%  9%  5.4日  7.1日 


急性胆嚢炎の手術時期の決定には早期に全身状態の把握,腹部超音波検査,CT,MRCPによる正確な診断を行い,手術可能と判断された症例には積極的に早期手術を適応していくことが推奨される(レベル3a)14)

 

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