ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

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第X章 急性胆嚢炎 -基本的治療-


1. 基本的治療方針と初期治療
Q87. 急性胆嚢炎における緊急あるいは早期の手術やドレナージの適応基準は?

1. 基本的には早期の胆嚢摘出術が望ましい。(推奨度B)
2. 初期治療で反応せず,何らかの理由で手術が行えない場合の経皮的ドレナージ術(推奨度B)
3. 胆汁性腹膜炎や胆嚢周囲膿瘍に対する緊急胆嚢摘出術(推奨度A)
4. 胆嚢捻転症,気腫性胆嚢炎の場合の緊急胆嚢摘出術(推奨度B)

急性胆嚢炎の手術時期については緊急または早期が主体で症例によっては待機手術が行われている。胆嚢摘出術は最近では腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)が主体とされている。
緊急手術: 診断の後,可及的速やかに行う手術である。
早期手術: 発症から72〜96時間以内の手術と定義する。 この時期は胆嚢周囲の浮腫性変化のために手術時期として適しているとされている。
待機手術: 胆嚢炎消退後,入院期間内または一端退院後再入院して行う手術とするが,発症2週間前後は癒着のために手術が困難なことがある。
軽症胆嚢炎では初期治療で軽快する場合もあるが,半年〜数年間の間に10〜50% が再発すると報告されており,入院期間中または軽快後に胆嚢摘出術を行うことが望ましい。 その結果LCおよび開腹下胆嚢摘出術(OC)とも早期手術が望ましく,LCはOCよりも入院期間が短く合併症にも差がないことから早期のLCが推奨されている(推奨度B,レベル1a〜2b)1,2,6)(「第XII章/Q101.急性胆嚢炎に対する適切な手術時期は?」参照)。
胆汁性腹膜炎や穿孔による腹膜炎を生じる恐れのある気腫性胆嚢炎(レベル4)7) や壊疽性胆嚢炎が疑われた場合には緊急に(開腹)胆嚢摘出術を行う必要があるが(レベル4)8),気腫性胆嚢炎では経皮的ドレナージによる治療例の報告もある。 超音波検査および重症度診断が手術適応の参考となる(レベル2b)9)(「第IX章/1./1)急性胆嚢炎の診断基準」参照)。
12〜24時間の初期治療に反応しない例(15〜20%)(レベル2b〜4)10) は緊急手術の適応であるが,併存疾患(Surgical Risk)や施設の事情により緊急手術が行えない場合には胆嚢ドレナージの適応となる。 経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)は局所麻酔下に行える手技であり耐術不能例やICU患者にも行うことができる非侵襲的治療として有用との報告がある(推奨度C,レベル4〜5)10,11,12,13)。ハイリスク急性胆嚢炎例に対する無作為化比較対照試験(RCT)では保存的治療に対する有意差が得られていないが,ドレナージ群にICU患者が多く含まれることやドレナージ手技のプロトコールが標準化されていないことが有意差のでない大きな理由と考えられ,本法の有用性を否定することはできない(レベル2b)14)。 何らかの理由で手術が行えない場合PTGBDは有用と考えられている。 なお,ベッドサイドで簡便に行えレントゲン透視も必要としない超音波映像下胆嚢吸引穿刺法(PTGBA)はコストもかからず合併症も少ないことから臨床的重症度が高い例に対して推奨する報告もある(推奨度C,レベル4)12,15)。 PTGBAはPTGBDに比べてドレナージチューブの管理の必要がないため逸脱などの合併症がなく,患者のADLも損なわれないなどの特徴がある。

 

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