ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

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第IX章 急性胆管炎 -診断基準と重症度判定-


7. 重症度判定基準と搬送基準
3)急性胆嚢炎の重症度判定基準
重症度に応じた治療指針を設定するために,予後規定因子(表11)を用いて重症度判定基準が作成された。 急性胆嚢炎は急性胆管炎と比べると比較的予後は良好ではあるが,壊疽性胆嚢炎,気腫性胆嚢炎,胆嚢捻転症などのように速やかな処置が求められる場合もある。 本ガイドラインでは,緊急な処置が必要な病態を「重症」,緊急ではないが早期に処置が必要な病態を「中等症」,保存的治療で様子をみてもいいと思われる病態を「軽症」,の3段階に分ける。 なお,急性胆管炎併存時には急性胆管炎の重症度判定基準も参照する必要がある。 予後規定因子のひとつである「高齢」は重症度そのものを表す因子ではなく,重症化しやすいことを意味する因子であるため,重症度判定基準では取り上げず,診療指針で取り上げる。

急性胆嚢炎の重症度判定基準(「第IX章/1./2)急性胆嚢炎の重症度判定基準」参照)
重症急性胆嚢炎
急性胆嚢炎の内,以下のいずれかを伴う場合は「重症」である。
 (1) 黄疸*
(2) 重篤な局所合併症:胆汁性腹膜炎,胆嚢周囲膿瘍,肝膿瘍
(3) 胆嚢捻転症,気腫性胆嚢炎,壊疽性胆嚢炎,化膿性胆嚢炎
中等症急性胆嚢炎
急性胆嚢炎の内,以下のいずれかを伴う場合は「中等症」である。
(1) 高度の炎症反応(白血球数 > 14,000/mm3,またはCRP > 10mg/dL)
(2) 胆嚢周囲液体貯留
(3) 胆嚢壁の高度炎症性変化:胆嚢壁不整像,高度の胆嚢壁肥厚
軽症急性胆嚢炎
急性胆嚢炎のうち,「中等症」,「重症」の基準を満たさないものを「軽症」とする。
*胆嚢炎そのものによって上昇する黄疸は特にビリルビン>5mg/dLでは重症化の可能性が高い(胆汁感染率が高い)。


表11 急性胆嚢炎における予後規定因子の集計
因子 報告数 基準 文献
・臓器不全 尿素窒素 1  > 40mg/dL 18
・炎症反応・感染 白血球数 2  > 14,100/mm3 14,15
  体温 1  > 37.3℃ 18
  CRP 1  > 10mg/dL 12
  血清鉄 1  < 38μg/dL 17
・ビリルビン高値 1  > 5mg/dL 14
・画像所見      
 1)胆嚢壁の高度炎症性変化      
  胆嚢周囲液体貯留像 3   40,41,50
  放射状のpericholecystic high signal(MRI) 1   111
  胆嚢壁の不整像(CT) 1   50
  胆嚢壁の造影不良(CT) 1   50
  高度の胆嚢壁肥厚 1  > 7.8mm 50
 2)重篤な局所合併症      
  胆嚢周囲膿瘍 1   40
  肝膿瘍 1   40
  胆管拡張 1   40
 3)その他      
  高度の胆嚢腫大(short-axis dimension) 1  > 5cm 50
・その他      
  年齢 2  > 50〜 > 65 12,15
  APACHE-II 1  > 10 112
  男性 1   15
  cardiovascular diseaseの既往 1   15
  糖尿病 1   15


 

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