ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

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第IX章 急性胆管炎 -診断基準と重症度判定-


5. 鑑別診断
Q81. 急性胆嚢炎と診断された症例が短時間に増悪した場合には,何を考えるか?

急性胆嚢炎と診断された症例が短時間に増悪する場合には,胆嚢捻転症,気腫性胆嚢炎,急性胆管炎の合併,壊疽性胆嚢炎,胆嚢穿孔,などを考える。

急性胆嚢炎の中では頻度は非常に少ないが,急速に症状が増悪することが多い疾患として,胆嚢捻転症がある(レベル4)99,100)。 胆嚢捻転症は,胆嚢頸部の捻転により血行が遮断され,胆嚢壁に壊疽性変化が生じ,緊急手術が必要となる。急性胆嚢炎と診断された症例が短時間に増悪し,胆嚢捻転症と判断した場合には早期に手術することが望ましい(レベル4)99)。 本邦報告236例の検討では,胆嚢捻転症における術前診断の正診率は8.9%で,34.5%の症例が,通常の胆嚢炎・胆石症と診断されている。 臨床所見では38℃以上の発熱が少なく(20.5%),診断には超音波検査が有用で,(1)胆嚢腫大,(2)胆嚢壁肥厚,(3)胆嚢と胆嚢床との遊離あるいは肝床との接触面積の狭小,(4)胆嚢の正中側または下方偏位が特徴的な所見である(レベル4)100)
気腫性胆嚢炎は胆嚢の局所的な炎症にとどまることなく,腹腔内膿瘍,汎発性腹膜炎,腹壁ガス壊疽,敗血症など致死的な合併症を起こし,極めて急激な臨床経過をたどることも多い。 急性胆嚢炎と診断された症例が短時間に増悪した場合には気腫性胆嚢炎も考えるべき病態のひとつである(レベル4)83)。 胆嚢壁の壊死を伴う壊疽性胆嚢炎,穿孔し腹膜炎を合併した場合,急性胆管炎を合併した場合にも,腹痛の増強など臨床症状の急激な増悪を認める場合がある101)

 

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