ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

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第VIII章 急性胆管炎に対する各種ドレナージ手技


3. 内視鏡的胆道ドレナージ術の手技の実際
3)内視鏡的胆道ドレナージ法
Q62. ENBDとstent placementのどちらを選択すべきか?

ENBDあるいはstent placementのいずれを選択してもよい。


(1)経鼻胆道ドレナージ(ENBD)
胆管への選択的カニュレーション後,ガイドワイヤーテクニックを用いて胆管内に5-7Frのチューブを留置し,経鼻的外瘻ドレナージを完成させる方法である(図7,8)。 図9,10にENBDの実際の手技を図示した。ESTの付加を必要とせず,外瘻であるためチューブの詰まりに対して洗浄が行え,胆汁培養を行えるなどの利点がある。 一方,経鼻的に留置するため患者の不快感は強く高齢者ではチューブの自己抜去や逸脱がみられる。 また,電解質,水分のロスになることやチューブがねじれることにより閉塞することがある。

図7 ENBDチューブの外観  

a.先端ストレート型

b.先端pigtail型
a.チューブの先端がストレートであるもの。逸脱防止のために十二指腸から胆管へ入る部分の屈曲(duodenal loop)があらかじめ形成されている。

b.逸脱防止のためチューブの先端部がpigtail型に形成されているもの。


図8 ENBDチューブからの胆管造影を行った写真
多数の胆管結石が認められる。
なお,通常胆管炎が治まってから十分な造影剤による直接胆管造影が行われる。



図9 ENBDの手技(1)

a.造影用カテーテルを胆管内に挿入する。

b.カテーテルを通してガイドワイヤーを胆管内に誘導する。

c.造影用カテーテルを抜く。

d.ガイドワイヤーに沿わせてENBDチューブを挿入する。

e.ガイドワイヤーを抜く。

f.ENBDチューブが抜けないように押しながら内視鏡を抜く。



図10 ENBDの手技(2)
a. ENBDチューブが経口的に誘導されている。
b. 経鼻的にチューブを誘導するために鼻腔から短いチューブ(short plastic tube)を挿入する。
c. 鼻腔から挿入したチューブを鑷子(surgical forceps)で口腔外に引き出す。
d. ENBDチューブをプラスチックチューブの先端孔に挿入する。
e. プラスチックチューブを鼻腔側に引いてENBDチューブを鼻腔から外に出す。
f. 胆管内に留置された5-7Frのドレナージチューブは経鼻的に体外に胆汁を排出するルートとなる。


(2)プラスチックステント留置(stent placement)
胆管への選択的カニュレーション後にガイドワイヤーテクニックを用いて7-10Frのプラスチックステントを胆管内に留置する内瘻ドレナージ法である(図11,12)。 ステントの形状は逸脱・迷入を防止するために,両サイドにフラップをもうけたストレート型と両側ピッグテイル型になったものがある(図13)。 経鼻胆道ドレナージに比べ患者の不快感がないことや電解質・水分のロスがないことが利点である。一方,実際のドレナージ状況は体外から窺い知ることはできず,ステントの逸脱や迷入の恐れもある。 ステント径が7Frより太径のものを挿入する場合にはESTの付加を必要とするなどのデメリットがある。

図11 プラスチックステントの手技(7Frストレート型プラスチックステント)

a.造影用カテーテルを胆管内に挿入する。

b.カテーテルを通してガイドワイヤーを胆管内に誘導する。

c.造影用カテーテルを抜く。

d.ガイドワイヤーに沿わせてプラスチックステントを押し出し用チューブ(the pusher tube)で胆管内に入れる。

e.胆管に迷入しないようにpusher tubeで抑えながらガイドワイヤーを抜く。

f.プラスチックステントを留意
     


図12 ステント留置例(急性胆管炎:慢性膵炎による胆管狭窄例)

a.ERC像,10Frストレート型プラスチックステントが留置されている。

b.ステント留置直後の内視鏡像である。ステントから十二指腸内に胆汁が流出している。
   


図13 プラスチックステントの種類

a.straight stent:迷入・逸脱防止のために両側にフラップが作られている。ESTを追加すれば10Fr以上の太いステントを挿入できる。

b.pigtail stent:両側がpigtailとなっておりステントの逸脱,迷入を防ぐことができる。但し7Frまでの太さとなる。

 

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