ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

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第VIII章 急性胆管炎に対する各種ドレナージ手技


3. 内視鏡的胆道ドレナージ術の手技の実際
2)EST
(1)Standard techniques
ESTは総胆管結石に対する治療だけでなく,悪性胆道閉塞に対するドレナージ法としても広く普及している手技である。 切開に用いるsphincterotome(メス)にはpull式,push式,針状sphincterotome(needle knife),フカヒレ型,等があり,それぞれにワイヤー部の露出部の長さや先端の形状の違いで様々な形式がある(図1a,b)。 この中で胆管に選択的にカニュレーションして使用する最も一般的なsphincterotomeはpull式である。欧米ではpull式sphincterotomeの切開ブレードの張力を加減することで先端の方向を変えERC困難例のカニュレーションにも用いられている(図1a)。 その他のpush type,needle typeを図2,3に示した。
通常のEST手技は選択的に胆管にカニュレーションされたsphincterotomeにより十二指腸乳頭を高周波で通電切開するものである(図4,図5)。 結石除去を目的としたESTとは異なり,ドレナージを目的とした場合には限られた範囲の切開で十分である5)。 ESTの合併症として急性膵炎,胆管炎などがあげられ,特に重篤化すると致死的となる急性膵炎の出現頻度は内視鏡医の技量により差がでることが知られている6,7)(表1)。

図1 pull type Shincterotome:乳頭切開の際に用いられるcutting knifeである。 pull typeがもっとも汎用されるタイプであり(図1a),ブレードを引くことにより先端の向きを変えることが可能である(図1b)。 ガイドワイヤーで誘導可能なものが多い。
図1a 図1b    
図2 push type sphincterotome:先端の向きを変えることはできないがブレード部分の長さや形を変更することができる。 precuttingに用いることができる。
図3 needle type sphincterotome:先端部が針状となっており選択的カニュレーションができなくとも切開することが可能である。
図2 図3    


図4 EST(Standar techniques)
a.スフィンクテロトームを胆管内に選択的にカニュレーションする。 b.ブレードを乳頭部にあてがい高周波で切開していく。


図5 EST(内視鏡)の実際
a.乳頭部開口部に結石が嵌頓している。 b.造影用カテーテルをカニュレーションしただけでこの症例では胆泥様結石が排出された。 c.造影用カテーテルをsphincter-otommeに交換し,通電切開しているところである。


表1 ESTの合併症
報告者              
(報告年) 症例数 膵炎 出血 胆管炎 胆嚢炎 穿孔 死亡例  
 Freeman6) 2,347 0.4% 0.5% 0.1% 0.1% 0.2% 0.4%
 (1996)              
 Cotton7) 7,729 1.9% 3.0% 1.7%   1.0% 1.3%
 (1991)              

 

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