ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

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第VII章 急性胆管炎 -根本的治療- 胆管ドレナージ法の選択とタイミング



Q58. 内視鏡的ドレナージの方法は?

ENBDあるいは胆管チューブステント留置のいずれを選択してもよい。 ESTの付加に関しては患者の状態や術者の技量と判断によって選択すべきである。

ENBDとチューブステント留置(いずれもESTを付加しない)を比較したRCT(レベル2b)24) では,手技成功率,有効率,合併症発症率には有意差を認めないが,自己抜去などのチューブトラブルがENBDで多い傾向にあり,患者の不快度は有意にステント留置で少ないことが示されている。 したがって,有効性の点ではENBD,ステント留置(10Frなどの大口径)のいずれを選択してもよいが,自己抜去の可能性のある患者ではステント留置が望ましい24)
臨床的に最もよく遭遇する総胆管結石による急性胆管炎に対する内視鏡的ドレナージの方法としては,EST単独,ESTに引き続いた総胆管結石一期的切石,ESTを付加しないENBDあるいはプラスティックのチューブを用いた胆管チューブステント留置,ESTを付加するENBDあるいは胆管チューブステント留置などがあるが,RCTによって各手技を比較検討した報告はない。 しかし,ENBDあるいは胆管チューブステント留置にESTを付加するか否かを比較検討した2つの症例集積研究(レベル4)25,26) が報告されている(表3)。 両者で手技成功率,ドレナージ有効率に有意差はないが,出血を主とした合併症がESTに多いという結果であった。 したがって,ドレナージ効果のみを期待する緊急の状況では,ESTを付加しないENBD,またはステント留置が望ましく,ESTを要する一期的総胆管切石操作は適切ではない。 ESTに引き続いた一期的総胆管切石は,患者の状態や結石の状況,術者の技量に応じて決定すべきである。

表3 内視鏡的胆管ドレナージ ‐EST付加群と非付加群の比較‐
  EST非付加 EST付加
報告者(発表年度) 症例数 成功率(%) 有効率(%) 合併症* (%) 症例数 成功率(%) 有効率(%) 合併症* (%)
(手技)                
Sugiyama(1998)25) 93 96 94 2 73 95 92 11
(ENBD, 7Fr)                
Hui(2003)26) 37 86 100 3 37 89 100 11
(Stent, 7Fr)                
*出血や膵炎などの手技に伴う合併症

 

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