ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

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第VII章 急性胆管炎 -根本的治療- 胆管ドレナージ法の選択とタイミング



Q57. 胆管ドレナージ法の選択は?

内視鏡的胆管ドレナージ(推奨度A)
経皮経肝的胆管ドレナージ(推奨度B)

胆道ドレナージ法には内視鏡的ドレナージ,経皮経肝的ドレナージ,開腹ドレナージがある。 内視鏡的ドレナージ法の安全性と有効性は多くの研究(レベル2b)5)(レベル4)6,7,8) から確認されている。内視鏡的ドレナージと開腹ドレナージを比較した無作為化比較対照試験(RCT)5) が,血圧低下や意識障害を伴う重症急性胆管炎82例を対象として報告されている。 この報告では,内視鏡的ドレナージ(ENBD : endoscopic nasobiliary drainage+EST : endoscopic sphincterotomy,n=41)が開腹ドレナージ(開腹+T-チューブドレナージ,n=41)に比べ,死亡率,合併症発生率ともに有意に少なく,前者が安全かつ有効である(表2)(レベル2b)。 さらに,開腹ドレナージの成績について最近のエビデンスはないが,Current surgical therapy(第8版)9) にも手術的ドレナージよりも内視鏡あるいはIVRによるドレナージが優れていると記載されている。

表2 急性胆管炎に対するドレナージ術 ‐内視鏡的ドレナージvs開腹ドレナージ(文献5) より引用)‐
結果 内視鏡  開腹  相対リスク減少率 
 死亡率 10% 32% 69%
 合併症発症率 34% 66% 48%
 人工呼吸器装着率 29% 63% 54%


経皮経肝的ドレナージに関してChenら10) は56例の急性胆管炎にPTBD(or PTCD) : percutaneous transhepatic biliary drainage(or percutaneous transhepatic biliary drainage)を行い,46例(82.1%)は18〜24時間以内に解熱し臨床症状の著明な改善を得ている(レベル4)。 また,Pessaら11) は42例の急性胆管炎にPTBDを行い,成功率100%,合併症7%,死亡率5% を報告している(レベル4)。 このように経皮的ドレナージの有用性も拡く認められてはいるが,すべての報告がretrospectiveな症例集積研究(レベル4)10,11,12,13,14,15,16,17,18) である。
内視鏡的ドレナージと経皮経肝的ドレナージの優劣に関して両者を比較したRCTの報告はなく,どちらを第一選択とすべきかについて明確な結論はでていない。 しかし,腹腔内出血や胆汁性腹膜炎などの重篤な合併症が少なく6,7,8),在院日数が有意に短い19) などの点から,内視鏡的なアプローチが可能な症例に対しては,内視鏡的ドレナージを優先すべきである(レベル4)19,20)(レベル3a)21,22,23)。 いずれにしろ,両手技ともかなりの熟練を要し,施行者の技量によりその成績はかなり異なるから,現時点では施設毎に確実にドレナージできる方法を採用すべきである。

 

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