ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

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第VI章 急性胆管炎 -基本的治療-


2. 細菌学的検索と抗菌薬
Q 45. 急性胆管炎における細菌検査はどのように行うべきか?

・胆管炎の初療において,重症あるいは中等症群では,早期から積極的に血液培養を行うべきである。

・診断的検査や処置など,採取する可能性,機会が有る限り胆汁を採取し,好気性,嫌気性を問わず菌種の同定に努めるべきである。
    血液培養(推奨度B)
    胆汁培養(推奨度B)

急性胆管炎における細菌学的診断は,病原微生物の特定のみならず重症度,治療効果,合併症発症時のdecision making等において非常に重要な位置を占めている。
急性胆管炎における細菌学的検査については,胆道結石保有症例における胆管炎合併や術後合併症,さらに死亡率に関する検討が行われている。 胆汁培養陽性は胆管炎の重症化や死亡率との相関が示唆されており(レベル2b〜3b)6,7),胆汁培養陽性患者の手術後は感染性合併症に最も注意すべきである(レベル5)8)。しかしながら,他の臨床的因子や術後合併症・死亡率において,これに反する報告も存在し,一定の見解には至っていない。

胆管炎症例における血液培養陽性例の多くは,その菌種を胆汁培養による分離菌と同じくすることが多く(レベル3b)9),胆管閉塞などに伴う急性胆管炎の併存とともにその陽性率が高くなる(レベル2b)6)。急性胆管炎症例において血液培養の陽性率は,21〜71% 程度と報告され(レベル5)10,11,12,13),頻度にばらつきがあるものの,「less frequent」と述べられている。 ひとたび菌血症「Bacteremia」が確定した際は,重症例に準じた対応をとることが一般的であるが,その根拠となるエビデンスは多くはない。しかしながら,その際は,治療抵抗性を示す重症例が多いとする報告や(レベル4)14),在院期間,術後腎不全発生率,死亡率と相関するという報告もあり(レベル2b)6),実地臨床上はあくまで重要な位置づけとなる。
V章の「重症度分類」や「搬送基準」において詳細に述べられているが,急性胆管炎において陽性であれば致死率が高い,あるいは重症胆管炎において頻度が高い因子のひとつにこの菌血症「Bacteremia」があげられる(「第V章/1.診断基準,重症度診断と搬送基準」参照)。 急性胆管炎の初療において,重症群あるいは各種予後不良因子をすでに呈した症例に対しては,早期から積極的に血液培養を行い,菌血症「Bacteremia」の有無を検索することが重要である。

 

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