ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

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第III章 定義・病態と疫学


2. 成因,発生頻度
Q13. “4F”や“5F”は急性胆嚢炎の発症に関連があるか?

肥満(レベル2b)や年齢(レベル4)とは関連があったが,それ以外の因子とは関連を認めない。

以前から,胆石症の患者には,いわゆる“4F”や“5F”(fair, fat, female, forty, and fertile)が該当すると言われてきた。

[年齢]
30〜59歳の被験者を10年間追跡調査し,胆石症の危険因子を検討したFramingham studyによると,10年以内に胆石症を発症するリスクは,55〜62歳の年齢層で最も高く,大部分の患者が50歳台あるいは60歳台で胆石症の診断を受けており,また,女性における発生率は,どの年齢層でも男性の2倍以上であるが,年齢とともにこの比が小さくなる傾向がみられる(レベル1b)66)

[肥満]
胆石症は,肥満の主要な随伴症である。 Framingham studyでも,胆石症患者は非胆石症患者と比較して肥満傾向にあることが確認されている(レベル2a)66)。しかし,この傾向は女性において顕著であるものの,男性ではそれほど観察されない,とする報告もある68)。一方で,肥満だけではなく,減量が胆石症のリスクと関係する。 肥満者が急激に減量すると,胆石のリスクが高くなる(レベル2b)67,69,70,71)。 肥満者(37〜60歳,女性BMI34以上,男性BMI38以上)は非肥満者と比較して,有意に胆石症および胆嚢炎の発生が高率である(胆石症:5.8%vs. 1.5%,オッズ比(OR)=4.9:,女性:6.4%vs. 22.6%,OR=4.7;胆嚢炎:0.8%vs. 3.4%,OR=5.2,女性:4.0%vs. 11.2%,OR=3.4)(レベル2b)72)

[その他]
前述のFramingham studyでは,コホートにエントリーした時点で胆石を有した患者やその後10年以内に胆石症を発症した患者では,有意に妊娠回数が多い特徴が指摘されている(レベル2b)66)


このように,“4F”や“5F”は,胆石症との関連において比較的良く検討されているものの,肥満や年齢以外の因子と,急性胆嚢炎発症リスクとの関係を検討した文献は,見当たらなかった。

 

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