ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

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第III章 定義・病態と疫学


2. 成因,発生頻度
Q10. 薬剤と急性胆嚢炎の関連は?

直接的な因果関係が示唆されているのはホルモン置換療法(レベル1a),肝動注療法のみである(レベル4)。

薬剤と急性胆嚢炎に関するレビュー57) では,急性胆嚢炎の90〜95%は胆石症が原因であるため,胆石の生成を促進する薬剤が間接的に急性胆嚢炎のリスクと関連すると述べられている(レベル4)57)。 このレビューにまとめられた薬剤関連胆嚢疾患の発生機序を表4に示す。
経口避妊薬を服用している女性において,胆嚢疾患のリスクが高くなることは古くから指摘されていたが,関連を認めないとする研究結果もある(レベル2a)58)。高脂血症治療剤で胆嚢疾患との関連を指摘されているのは,フィブレートのみである(レベル2b)59)。サイアザイドにより急性胆嚢炎が惹起されるという報告があるが(レベル3b)60),関連がないとする報告もある(レベル3b)61)。 第三世代のセファロスポリン系抗菌薬であるセフトリアキソンは,小児に大量投与した際は,胆汁排泄時にカルシウム塩を沈澱させ,25〜45%の患者において胆泥を生成し(レベル4)57),投与中止により消失する。またオクトレオチドを長期間投与すると胆汁うっ滞が起こり,1年間服用すると50%の患者に胆嚢結石が発生するという報告がある(レベル4)57)。肝動注療法は,直接的な毒性による化学性胆嚢炎を引き起こす(レベル4)57)。 またエリスロマイシンやアンピシリンは,過敏性胆嚢炎の原因となるという報告がある(レベル4)57)。 ホルモン置換療法による疾患発生のリスクに関するメタ分析によると,5年以内の服用で,胆嚢炎発症の相対リスク(RR)は1.8(95%C.I.;1.6〜2.0),5年以上の服用で相対リスク(RR)は2.5(95%C.I.;2.0〜2.9)であると報告されている(レベル1a)62)

表4 薬剤に関連した胆嚢疾患の発生機序(文献57)より引用)
発生機序 薬剤/治療
直接的な毒性
胆汁の結石生成の促進
ACAT活性の阻害
肝臓のリポプロテイン受容体の増加
胆嚢結石をもつ患者における急性胆嚢炎の誘発
胆汁中のカルシウム塩沈殿の促進
胆嚢の運動性の阻害
溶血の促進
免疫的機序
肝動注療法
 
プロゲステロン,フィブレート
エストロゲン
サイアザイド(不確定)
セフトリアキソン
オクトレオチド,麻薬,抗コリン剤
Dapson
抗菌薬(エリスロマイシン・アンピシリン)
免疫療法

 

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