ガイドライン

(旧版) 肝癌診療ガイドライン2009年版

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コメディカル委員コメント 1
肝癌診療ガイドライン会議に参加して


今回,2007年より看護師の一人として,科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン作成に関する研究班メンバーとして会議に参加するという貴重な機会をいただき感謝申し上げると同時に,僭越ではございますが,私の感じたことを述べさせていただきたいと思います。
普段から外来の診察室で,「肝細胞癌治療アルゴリズム」の図を担当医が用いながら患者さんに説明しているのを見かけておりました。それくらい今や臨床の場ではこの肝癌診療ガイドラインが用いられ,馴染みの深いものとなっています。
参加した会議では,実際にこの肝癌診療ガイドラインがどのように作成されたかを目の当たりにしたのですが,普段日夜忙しく働いている先生方が,通常の診療業務に加え,このガイドラインを作成するために,途方に暮れそうな膨大な作業(予防,画像診断,腫瘍マーカー,手術療法,穿刺局所療法,化学療法の各分野を網羅するために,それぞれの専門領域を担当した先生方は,エビデンス集作成のための文献検索,論文の評価を行う)をしていることを知りました。改めて医師の業務はプロフェッショナルであり,肝細胞癌と闘う戦士であると感じずにはいられませんでした。
治療方法の一つひとつについて,それがエビデンスに基づいているか,それが推奨されるレベルであるか,加えてその根拠の強さも指標に入れながら徹底的に検証していくという作業は,まさに患者さんの治療方針の土台をこの場で作り上げていくというものでした。
この『肝癌診療ガイドライン2009年版』は,肝細胞癌の治療において手術療法,局所療法,塞栓療法など複数の有力な治療法の中から,癌の進行度だけでなく肝障害度を考慮して個々の患者さんにとって最善の治療を提供できるように作成されています。特に肝細胞癌治療アルゴリズムやサーベイランスアルゴリズムは簡潔明瞭に図に示されており,我々看護師でも理解しやすい図となっています。今,肝細胞癌と闘っている多くの患者さんが,医師や看護師らと共に個々の患者さんに合った治療方針を考えられるよう,このガイドラインの活用ができれば幸いです。
ぜひ,この肝癌診療ガイドラインを医師のみの活用にとどまらず,今後多くの医療機関で看護師の皆様も利用していただきたいと思います。

2009年5月
東京大学医学部附属病院 看護部 野尻佳代

 

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