ガイドライン

(旧版) 肝癌診療ガイドライン2009年版

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第6章 穿刺局所療法


CQ50 3cm超あるいは4個以上の肝細胞癌患者に対してTACEに穿刺局所療法を併用することは予後を改善するか?

推 奨
3cm超あるいは4個以上の肝細胞癌に対して,TACEとPEITの併用療法はTACE単独治療と比較して予後を改善する。
(グレードB)

■サイエンティフィックステートメント
Tanakaらは,3cmを超える単発の肝細胞癌患者43人を対象に,TACE単独とTACE+PEITの比較試験を行い,TACE+PEIT群のほうが有意に予後が良好であったと報告している(LF017541) Level 2a)。また,Bartolozziらは,3.1〜8cmの肝細胞癌に対するTACEとPEITの併用療法とTACE単独のRCTを行い,生存率に有意差はなかったが,無再発生存は併用療法のほうが優れていたと報告している。また,TACE単独群では2〜5回の治療を繰り返すことにより,1年後に肝予備能の悪化が認められた(LF016352) Level 1b)。Beckerらは,肝細胞癌患者52人(5cm以上34人,4個以上11人)を対象にTACE単独とTACE+PEITのRCTを行い,全体では予後に差がなかったが,Okuda分類Iの患者26人に限っては,TACE+PEIT群のほうが予後良好であった(ハザード比0.4;p=0.04)と報告している(LF110553) Level 1b)。

■解 説
本来局所療法ではなく,TACEの適応となるような3cm超あるいは多発の患者に対してTACE後に局所療法を追加することが,予後の向上に寄与するかを検討した。少数例のRCTか非RCTの報告のみであるが,いずれもTACE+PEITのほうが良好な予後が得られるという結果であった。ただし,最大腫瘍径3cm超,病変数4個以上のうち,それぞれどのくらいの大きさ,どのくらいの個数まで予後延長効果が得られるか,など明らかになっていない点が多く,また,肝機能不良例では穿刺局所療法を追加することが予後を悪化させる可能性もあることから,適応は慎重に検討すべきであろう。一方,TACEにRFAを加えることが予後を改善するかについては,現在のところ,十分なエビデンスがない。

■参考文献
1) LF01754 Tanaka K, Nakamura S, Numata K, Okazaki H, Endo O, Inoue S, et al. Hepatocellular carcinoma:treatment with percutaneous ethanol injection and transcatheter arterial embolization. Radiology 1992;185(2):457-60.
2) LF01635 Bartolozzi C, Lencioni R, Caramella D, Vignali C, Cioni R, Mazzeo S, et al. Treatment of large HCC:transcatheter arterial chemoembolization combined with percutaneous ethanol injection versus repeated transcatheter arterial chemoembolization. Radiology 1995;197(3):812-8.
3) LF11055 Becker G, Soezgen T, Olschewski M, Laubenberger J, Blum HE, Allgaier HP. Combined TACE and PEI for palliative treatment of unresectable hepatocellular carcinoma. World J Gastroenterol 2005;11(39):6104-9.

 

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