ガイドライン

(旧版) 肝癌診療ガイドライン2009年版

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第4章 化学療法・放射線治療


● おわりに
この5年間で,肝細胞癌に対する化学療法に関しては,パイロット研究だけではなく,いくつか『エビデンスに基づいた』RCTの報告がみられるようになった。
これまで肝細胞癌に対する化学療法そのものの有効性は証明されていなかったが,2008年に新規分子標的薬であるソラフェニブとプラセボのRCTの結果が報告され,化学療法の有用性が証明された。ソラフェニブによる化学療法の奏効率は低く,プラセボと有意差がないにもかかわらず,有意な生存期間延長が示されている。
現在,このような新規分子標的薬の臨床試験が複数行われており,今後は,これらの新規分子標的薬の登場とともに,これらの薬剤を用いた併用療法や治療後補助療法などの投与方法の工夫がなされていくと考えられる。またこれらの薬剤は,従来の抗腫瘍効果と生存期間との乖離が示されており,今後肝細胞癌に対する抗腫瘍効果の評価方法,臨床試験の主要評価項目などが再考されていくものと考えられる。
今後も化学療法を施行するにあたっては,エビデンスに基づいて行うこと,また,よくデザインされたRCTによって,よりエビデンスの高い肝細胞癌化学療法の情報を蓄積していくことが必要である。

 

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