ガイドライン

(旧版) 肝癌診療ガイドライン2009年版

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第4章 化学療法・放射線治療


第1節 化学療法

CQ37 化学療法の治療効果予測因子・予後因子は何か?

推 奨
科学的根拠のある治療効果予測因子・予後因子はない。
(グレードC)

■サイエンティフィックステートメント
肝細胞癌の抗癌剤による化学療法の治療効果予測因子および予後因子については,標準的な治療法が確立されていないものの,それぞれの治療法でさまざまな因子が検討されていた。治療効果予測因子や予後因子を中心に検討した論文は5件あった。
全身化学療法を受けた症例の検討では,performance status良好,黄疸なし,組織型がfibrolamellar型,肝硬変の併存なし,AFP正常範囲内が予後因子として挙げられた(LF032111) Level 4)。同様にわが国からの全身化学療法を受けた症例の検討では,片葉限局型が治療効果予測因子として,performance status,腹水,肝内占拠率50%,門脈本幹腫瘍栓,ビリルビン値高値が予後因子として示された(LF024402) Level 4)。
肝動注化学療法を受けた症例の検討から,CLIPスコア,Okuda分類の病期,治療奏効が予後因子とするものや(LF107943) Level 3),Child-Pugh分類スコア,AFP値,治療奏効(LF106834) Level 3)を予後因子として示すものがあった。
HBV陽性肝細胞癌症例での検討で,ビリルビン値高値,HCV陽性,化学療法前HBV DNA量高値が予後因子として挙げられた(LF105595) Level 1b)。
治療として化学療法の有無とその奏効,腫瘍進展因子として血管侵襲,患者因子としてperformance status,肝硬変合併,肝予備能が挙げられることが多く,検査成績として,血清ビリルビン,ALP,AFP,HBs抗原陽性などの報告があった。
治療効果予測因子と予後因子は報告によって一定ではなく,科学的根拠のある因子はなかった。

■解 説
治療効果予測因子や予後因子を中心に検討した論文は5つあった。さらに,論文の中に奏効因子・予後因子解析をしていた論文も検討したが,治療効果予測因子にばらつきがあり,いまだ明らかなものはない。また予後因子についても,腫瘍因子として腫瘍進展度,患者因子として肝機能が挙げられることが多いが,エビデンスレベルの高い論文はなかった。そのため,科学的根拠のある治療効果予測因子や予後因子は現在のところはっきりしないと判断した。このため推奨の強さのグレードは評価できず,根拠の強さとして言い切れる科学的な根拠がないグレードCとした。

■参考文献
1) LF03211 Ihde DC, Matthews MJ, Makuch RW, McIntire KR, Eddy JL, Seeff LB. Prognostic factors in patients with hepatocellular carcinoma receiving systemic chemotherapy. Identification of two groups of patients with prospects for prolonged survival. Am J Med 1985;78(3):399-406.
2) LF02440 Nagahama H, Okada S, Okusaka T, Ishii H, Ikeda M, Nakasuka H, et al. Predictive factors for tumor response to systemic chemotherapy in patients with hepatocellular carcinoma. Jpn J Clin Oncol 1997;27(5):321-4.
3) LF10794 Hamada A, Yamakado K, Nakatsuka A, Takaki H, Akeboshi M, Takeda K. Hepatic arterial infusion chemotherapy with use of an implanted port system in patients with advanced hepatocellular carcinoma:prognostic factors. J Vasc Interv Radiol 2004;15(8):835-41.
4) LF10683 Yamasaki T, Kimura T, Kurokawa F, Aoyama K, Ishikawa T, Tajima K, et al. Prognostic factors in patients with advanced hepatocellular carcinoma receiving hepatic arterial infusion chemotherapy. J Gastroenterol 2005;40(1):70-8.
5) LF10559 Yeo W, Mo FK, Chan SL, Leung NW, Hui P, Lam WY, et al. Hepatitis B viral load predicts survival of HCC patients undergoing systemic chemotherapy. Hepatology 2007;45(6):1382-9.

 

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