ガイドライン

(旧版) 肝癌診療ガイドライン2009年版

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第4章 化学療法・放射線治療


第1節 化学療法

CQ31 肝細胞癌化学療法はどのような症例に行われるか?

推 奨
化学療法の適応について科学的根拠がある推奨はない。
(グレードC1)

■サイエンティフィックステートメント
化学療法の適応そのものを検討した論文はなかったため,肝細胞癌に対する化学療法を検討した論文の中の対象症例選択について検討した。
肝細胞癌に対する化学療法は,手術,TAE,経皮的治療など既存の治療適応外の症例を対象に行われていた。肝細胞癌の進行度に関しては明確な記載がないものもあり,報告により一定でなかった。記載のあるものでは,門脈本幹やその一次分枝に腫瘍栓を有する症例,肝内両葉多発例,遠隔転移を有する例に行われていた。
全身化学療法の効果因子を検討した報告で,performance status2〜3,腹水あり,腫瘍の肝占有率50%以上,門脈本幹腫瘍塞栓,血清ビリルビン値2.0mg/dl以上に該当する症例では奏効例がないため,高度進行肝細胞癌,高度肝機能低下例では全身化学療法は推奨されないと結論していた(LF024401) Level 4)。
肝動注化学療法に関しては,腫瘍栓を有する症例,または肝内多発例に対して行われていた。
遠隔転移を伴う進行肝細胞癌に関しては,遠隔転移症例のみを対象にした報告があり(LF102382) Level 4,LF101923) Level 4),遠隔転移症例を適応外とする科学的根拠もなかった。

■解 説
化学療法の適応そのものに関して論じた論文はなかったため,科学的根拠がある推奨はなかった。今回,化学療法の適応についてそれぞれの論文の症例選択を参考にまとめた。
ほとんどの対象症例が,既存の治療法である肝切除,局所療法,塞栓療法の適応外またはそれらで治療困難な症例を対象としていた。対象の選択基準は,使用する薬剤により,白血球数(好中球数),血小板数,performance status,腎機能(血清クレアチニン値),肝機能(血清ビリルビン値,アミノトランスフェラーゼ),心機能(心筋梗塞の既往など)などにそれぞれ基準を設けていた。

■参考文献
1) LF02440 Nagahama H, Okada S, Okusaka T, Ishii H, Ikeda M, Nakasuka H, et al. Predictive factors for tumor response to systemic chemotherapy in patients with hepatocellular carcinoma. Jpn J Clin Oncol 1997;27(5):321-4.
2) LF10238 Ikeda M, Okusaka T, Ueno H, Takezako Y, Morizane C. A phaseII trial of continuous infusion of 5-fluorouracil, mitoxantrone, and cisplatin for metastatic hepatocellular carcinoma. Cancer 2005;103(4):756-62.
3) LF10192 Park SH, Lee Y, Han SH, Kwon SY, Kwon OS, Kim SS, et al. Systemic chemotherapy with doxorubicin, cisplatin and capecitabine for metastatic hepatocellular carcinoma. BMC Cancer 2006;6:3.

 

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