ガイドライン

(旧版) 肝癌診療ガイドライン2009年版

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第2章 診断およびサーベイランス


第2節 腫瘍マーカー

● はじめに

腫瘍マーカーの利用法は,診断,サーベイランス,治療効果指標の3つに大別できると考えられる。進行癌が大多数を占めていた時代には,アルファフェトプロテインは,肝細胞癌の確定診断に用いられていた。しかし,dynamic CTに代表される画像診断の進歩によって,特異度の低いAFPの肝細胞癌診断における重要性は低下した。一方,PIVKA-IIおよびAFP-L3分画は,共に特異度が高い(95%前後)という特徴をもっており,わが国では広く使われるに至っている。
サーベイランスにおいて,腫瘍マーカーは,画像検査を補完する役割で用いられている。この場合,腫瘍マーカーがある閾値以上の値を示したときに,腹部超音波検査でたとえ病変を検出することができなくても,dynamic CTのようなより感度の高い検査を行うかを判断するという状況が想定される。そのような判断に適した腫瘍マーカーには,陽性尤度比(陽性であった場合に検査後確率を上昇させる割合)が大きいことが求められる。
腫瘍マーカーの絶対値は,肝あるいは全身の腫瘍量の総量を代替していると考えることができる。治療前後の腫瘍マーカーを測定することによって,治療による腫瘍量の減少効果を客観的に評価することが可能である。特にTACEにおいて有用性が高いと考えられている。また,特異度の高い腫瘍マーカーの場合は,陰性化の有無を検討することによって切除や局所療法の根治性を検討することも可能であると考えられる。
わが国は,これら3種の腫瘍マーカーが保険適応であるという,他に例をみない国である。この分野でのわが国の貢献は著しく,多くのエビデンスが日本発である。

 

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