ガイドライン

(旧版) 肝癌診療ガイドライン2009年版

書誌情報
 
第1章 予防


第2節 肝庇護療法

CQ3 B型慢性肝炎患者に対する核酸アナログ製剤投与は肝細胞癌の発癌予防に有効か?

推 奨
B型慢性肝炎患者に対する発癌予防として核酸アナログ製剤が推奨される。
(グレードB)

■背 景
B型慢性肝炎患者に対する核酸アナログ製剤投与は,B型肝炎ウイルスの増殖を抑制し,肝の炎症を沈静化させ,肝の線維化を寛解させる。核酸アナログ製剤投与がB型慢性肝炎患者からの発癌を減少させるかを検討した。

■サイエンティフィックステートメント
B型慢性肝炎患者に対する核酸アナログ製剤投与は,肝発癌リスクを減少させる(ハザード比0.49;p=0.047)。

■解 説
核酸アナログ製剤と肝腫瘍をキーワードに論文検索を行った。1編のRCTが採択された。
Liawら(LF108851) Level 1b)は,線維化の進んだB型慢性肝炎あるいは肝硬変患者651人をランダムに2:1の割合でラミブジン投与群とプラセボ投与群に割り当て,中央値32.4カ月間経過観察した。発癌は,ラミブジン投与群の3.9%,プラセボ投与群の7.4%に認められ,ラミブジンは肝発癌リスクを有意に減少させた(ハザード比0.49;p=0.047)。ただし,本研究は複数のend-point(Child-Pughスコアの2以上の上昇,特発性細菌性腹膜炎の発生,腎不全,静脈瘤破裂,肝発癌,死亡)を設定した研究デザインを採用しており,中間解析によって早期に研究が中止されていた。よって肝発癌抑止効果については,有意差は0.05付近であり,推奨グレードをBとした。
なお,現在ではB型慢性肝炎に対する核酸アナログ製剤として,ラミブジンは耐性変異出現率が高いため,第一選択として用いられていない。ラミブジンで認められた発癌抑制効果は,より抗ウイルス効果の高い他の核酸アナログ製剤にも外挿可能であろうと判断し,推奨を核酸アナログ製剤一般とした。

■参考文献
1) LF10885 Liaw YF, Sung JJ, Chow WC, Farrell G, Lee CZ, Yuen H, et al. Lamivudine for patients with chronic hepatitis B and advanced liver disease. N Engl J Med 2004;351(15):1521-31.

*:Child分類と一般にいわれているものは,もともとはChild-Turcotte分類が正式な名称である。また,PughがChild-Turcotte分類を改訂したものは,Child-Turcotte-Pugh分類(CTP分類)が正式な名称であるが,本書では『原発性肝癌取扱い規約』との統一を図るため,Child-Pugh分類という名称を用いることとした。

 

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