ガイドライン

(旧版)急性膵炎診療ガイドライン2010

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第II章  文献のエビデンスレベルの分類法と推奨度

 
1.文献のエビデンスレベルの分類法

各文献が提示するエビデンスを,Cochrane libraryで用いられている科学的根拠に基づく分類法(Oxford centre for evidence-based medicine levels of evidence(2009年3月))(表II-1〜41),2)に準じて評価し,急性膵炎の診断,治療に関わる各項目のquality of evidenceを決定した。なお,本ガイドラインで採用したすべての引用文献にはその文献のエビデンスレベルを各引用の最後に括弧内に表記した。

表II-1 治療/予防,病因/害
表II-1 治療/予防,病因/害
脚注:使用者は以下に挙げる理由から確定的なレベルを決定できなかったことを示すために,マイナスの印「-」を付記してもよい:
  信頼区間の広い単一の研究しかない
  あるいは無視できない(かつ統計学的に有意な)不均一性をもつシステマティックレビュー
  これらのエビデンスは確定的でなく,グレードDの推奨しかできない
RCT:無作為化比較対照試験
* システマティックレビューにおける均一性とは,個々の研究の結果に問題となるようなバラツキがない(均一である)ことである。統計学的に有意な不均一性があるシステマティックレビューすべてで憂慮する必要はなく,また,憂慮すべき不均一性が必ずしも有意とは限らない。研究結果間のバラツキが大きく,システマティックレビューの結論に妥当性の問題が生じる可能性がある場合,レベルの後ろに「-」を付ける。
どのようにして, 広い信頼区間をもつ臨床試験や他の研究を理解し評価するかについては, 脚注を参照のこと。
§§ 質の低いコホート研究とは,明確な比較群を持たない研究,暴露群と非暴露群とで同一の(盲検化が望ましい)客観的方法を用いて暴露とアウトカムを測定できなかった研究,既知の交絡因子を同定あるいは適切にコントロールできなかった研究,十分な期間中に完全なフォローアップができなかった研究をさす。質の低いケースコントロール研究とは,明確な比較群を持たない研究,かつ/あるいは症例群と対象群とで同一の(できれば盲検が望ましい)客観的方法を用いて暴露とアウトカムを測定できなかった研究,かつ/あるいは既知の交絡因子を同定あるいは適切にコントロールできなかった研究,かつ/あるいは十分な期間中に完全なフォローアップができなかった研究をさす。


表II-2 予後
表II-2 予後
*    システマティックレビューにおける均一性とは,個々の研究の結果に問題となるようなバラツキがない(均一である)ことである。統計学的に有意な不均一性があるシステマティックレビューすべてで憂慮する必要はなく,また,憂慮すべき不均一性が必ずしも有意とは限らない。研究結果間のバラツキが大きく,システマティックレビューの結論に妥当性の問題が生じる可能性がある場合,レベルの後ろに「-」を付ける。
    Clinical Decision Rule(予後を予測するため,あるいは診断を層別化するためのアルゴリズムあるいはスコアリングシステム)
§§§    分割サンプルによる妥当性の検証とは,一度に収集したサンプルを人工的に「誘導」サンプルと「妥当性検証」サンプルに分割することである。
***    質の低い「予後に関するコホート研究」とは,(1)ターゲットとするアウトカムを既に持つ患者が偏ってサンプリングされている研究,(2)対象患者の80%未満でしかアウトカム測定が行われていない研究,(3)非盲検的/非客観的な方法でアウトカム測定が行われている研究,(4)交絡因子が調整されていない研究をさす。


表II-3 診断
表II-3 診断
*    システマティックレビューにおける均一性とは,個々の研究の結果に問題となるようなバラツキがない(均一である)ことである。統計学的に有意な不均一性があるシステマティックレビューすべてで憂慮する必要はなく,また,憂慮すべき不均一性が必ずしも有意とは限らない。研究結果間のバラツキが大きく,システマティックレビューの結論に妥当性の問題が生じる可能性がある場合,レベルの後ろに「-」を付ける。
    Clinical Decision Rule(予後を予測するため,あるいは診断を層別化するためのアルゴリズムあるいはスコアリングシステム)
†††    適切な参照基準は検査から独立し,全ての患者に対し盲検的/客観的に適用されている。不適切な参照基準は行き当たり的に適用されているが,なおかつ検査から独立している。非独立的な参照基準を用いている場合(「検査」が「参照基準」に含まれる場合,あるいは「検査の施行」が「参照基準」に影響を与える場合)は,レベル4研究に分類する。
**    妥当性検証研究とは,既存のエビデンスに基づいて特定の診断検査の性能を検討した研究のことである。探索的研究とは,情報を収集しデータを解析して(例:回帰分析など)「有意な」因子を探索する研究のことである。
††    「絶対的な特異度で診断が確定」とは,検査が陽性の場合に診断が確定できるほど特異度が高いことをさす。「絶対的な感度で診断が除外」とは,検査が陰性の場合に診断が除外できるほど感度が高いことをさす。
§§§    分割サンプルによる妥当性の検証とは,一度に収集したサンプルを人工的に「誘導」サンプルと「妥当性検証」サンプルに分割することである。


表II-4 経済的評価
表II-4 経済的評価
*    システマティックレビューにおける均一性とは,個々の研究の結果に問題となるようなバラツキがない(均一である)ことである。統計学的に有意な不均一性があるシステマティックレビューすべてで憂慮する必要はなく,また,憂慮すべき不均一性が必ずしも有意とは限らない。研究結果間のバラツキが大きく,システマティックレビューの結論に妥当性の問題が生じる可能性がある場合,レベルの後ろに「-」を付ける。
††††   「経済学的に優れた」治療法とは,(1)安価で同等の効果が得られる治療法,(2)同等以下の価格でより良好な効果が得られる治療法である。「経済学的に劣った」治療法とは,(1)より高価だが同等の効果しか得られない治療法,(2)同等以上の価格で効果が劣る治療法をさす。

 

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