ガイドライン

(旧版)急性膵炎診療ガイドライン2010

書誌情報
第2版の序

 

エビデンスに基づいた急性膵炎の診療ガイドライン第2版出版責任者
高田  忠敬

2003年7月に第1版の「急性膵炎の診療ガイドライン」が出版された。1994年の基礎構想から積み重ねた多くの努力によって結実したこのガイドラインは,系統的エビデンス検索,明確な推奨文と推奨度,フローチャート,搬送基準,豊富な図表写真,索引等,先進的な方法を取り入れ,高い評価を受け,ガイドライン作成の雛形として用いられてきた。
出版後4年が過ぎ,その間に急性膵炎の死亡率も7.2%から2.9%に改善した。しかし,いまだに最重症例では死亡率は30%を超え,難治病特定疾患に指定されている。経過した4年間で,新たなエビデンスが蓄積されたことはいうまでもないが,それに加え,急性膵炎診療を取り巻く日本の臨床医療も変化してきている。また,診断・治療方法の進化に加え,第1版のガイドラインの影響も少なくない。リパーゼを代表とするエビデンスに基づく診断方法,輸液に始まりいわゆる特殊治療の位置付け,さらに明確な搬送基準等,日本の臨床に及ぼした影響は少なくない。その一方,2005年から2006年に行われたガイドライン出版後のアンケート調査では,内容についてのさらなる改良の必要性や,普及および適正利用についてのより多くの努力が必要であることも明らかとなった。

今回,改訂第2版を作成出版するにあたり,以下の点が大きく強化された。
1. まず第1版の作成担当団体である日本腹部救急医学会,日本膵臓学会に加え,厚生労働科学研究班(高田班),さらに日本医学放射線学会にご参加いただいた。特に,本文中で使用している症例画像や,画像診断の項は放射線診断医の立場からの全面改訂となった。
2. 最新のエビデンス追加は,第1版出版後の新しいエビデンスの系統的検索を行い,さらに現在の日本の実臨床を勘案して推奨文を作成した。新しくクリニカルクエスチョンも追加した。特に,推奨度については,委員会での検討結果,新推奨度分類を作成し,用いた。
3. 診断の項目に期待される診断法として「trypsinogen-2」の項目を追加し,搬送基準も第1版に比し,明瞭な推奨文となるよう工夫した。治療法では,外科治療の適応についての検討に加え,その他の非外科的治療についても広く治療方法を提示した。また,治療後の経口食開始についても新規に検討追加した。
4. 評価委員として,内科,外科,放射線医学の各視点からの評価に加え,ガイドライン作成方法論の立場からの評価もいただいた。
これら以外にも,新規加筆,および改訂が細部にまで行われ,最新のガイドラインとなった。

今後も医学の進歩に加え,保険診療を始めとした臨床の医療は変化し続ける。診療ガイドラインは,常に最新のエビデンスと実臨床を反映した推奨診療を提示し続ける必要があるため,作成委員会は今後も4年毎のガイドライン改訂作業を継続する予定である。
本ガイドラインが,臨床医に適切な情報を提供し,何より患者に対し最良の医療が行われることに役立てば幸いである。

2007年2月吉日

 

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