ガイドライン

(旧版)EBMに基づく 胃潰瘍診療ガイドライン 第2版 −H. pylori二次除菌保険適用対応−

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第3部 胃潰瘍診療ガイドラインの作成と評価

 
1.EBMの解説とガイドライン作成過程
3)胃潰瘍診療ガイドライン改訂過程

表1に示すように,診療ガイドラインは一度作成されればそれで役割が終了するわけではない。それを公開・普及してゆく努力が求められると同時に,新たに集積される知見を収集・整理・吟味してゆく必要がある。すでに述べたように,わが国における信頼できるエビデンスが乏しい問題に対しては,積極的に臨床試験を行い,エビデンスを構築していくことも求められる。ガイドラインを実際の臨床の場で適応した場合の問題点についての吟味,患者の意識の変化,医療経済的な変化なども考慮していく必要がある。このようなさまざまな状況の変化に応じて,ガイドラインも一定期間ごとに更新し続けてゆく必要があるのは当然である。
今回,平成17年度から2年間の予定で,厚生労働省の医療安全・医療技術評価総合研究事業として「胃潰瘍診療ガイドラインの適用と評価に関する研究」が認められた。そこで,すでに作成された胃潰瘍診療ガイドラインの適用上の問題点と評価に関する検討を行い,それを踏まえて改訂を行うこととなった。文献検索方法等に関してはこれまでのガイドラインの方針を保つとともに,ガイドラインを適応していくうえで問題点として指摘された事項に対応するため,わが国でのエビデンスの有無やレベルの細分化,一般的生活指針等を追加すること,わが国での保険適用の有無を明示することなどの改訂を行ったが,全体の骨子を変更する必要性はないことが確認されている。
表2に今回の改訂に加わった最終年度の研究班員とその分担課題を示す。

表1 胃潰瘍診療ガイドライン作成の手順
1.ガイドライン作成準備作業
 
  • 胃潰瘍診療ガイドライン作成委員会の設置。
2.文献検索とデータベースの作成
 
  • 胃潰瘍診療上の疑問点・問題点を明確にする。
  • 疑問点・問題点について文献を一定の基準に従い検索,選定する。
  • 文献の批判的吟味を行い,文献一覧表を作成する。
3.診療ガイドラインの作成
 
  • 文献を分類整理し,科学的根拠の強いエビデンスを採用する。
  • 各疑問点や問題点に対する勧告の強さをエビデンスに基づいて決定する。
  • 診療ガイドラインを作成する。
4.診療ガイドラインの公開と普及,改訂
 
  • ガイドラインを論文・書籍・インターネット等で公開する。
  • 実地診療での問題点をフィードバックする。
  • 新たな文献的エビデンス・医療実態に基づいて一定期間で更新・改訂する。


表2 改訂胃潰瘍診療ガイドラインの作成研究班と担当課題(平成17〜18年度)
課題(問題点) 担当 所属
胃潰瘍初期治療(非除菌)の薬剤選択,
併用療法の意義
千葉   勉 京都大学
伊藤俊之 京都大学
高橋信一 杏林大学
水野元夫 広島市民病院
生活指導 水野元夫 広島市民病院
維持療法(非除菌)の意義と方法 中村孝司 帝京大学
Helicobacter pylori 除菌治療 浅香正博 北海道大学
加藤元嗣 北海道大学
藤岡利生 大分大学
高木敦司 東海大学
上村直実 国立国際医療センター
佐藤貴一 自治医科大学
NSAID潰瘍 太田慎一 埼玉医科大学
平石秀幸 獨協医科大学
溝上裕士 東京医科大学霞ヶ浦病院
出血性胃潰瘍の治療 芳野純治 藤田保健衛生大学
若林貴夫 藤田保健衛生大学
春間   賢 川崎医科大学
EMR後潰瘍 芳野純治 藤田保健衛生大学
若林貴夫 藤田保健衛生大学
メタアナリシス 森實敏夫 神奈川歯科大学
医療経済的評価 井口秀人 神戸大学
羽生泰樹 済生会野江病院
研究班とりまとめ 菅野健太郎 自治医科大学
佐藤貴一 自治医科大学
班友 中澤三郎 山下病院
  (消化器病学会元理事長)
担当者には施設の研究協力者も含む。*平成17年度,#平成18年度班員

 

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