ガイドライン

(旧版)EBMに基づく 胃潰瘍診療ガイドライン 第2版 −H. pylori二次除菌保険適用対応−

書誌情報
第2部 胃潰瘍診療ガイドライン―解説―

 
9.メタアナリシス
4)結果
(2)PPIとその他の薬剤の比較


除菌治療が導入される以前の研究で,PPIとH2RAその他の薬剤を比較した結果,PPIが胃潰瘍の治癒率において有意に優れていた。
Di Marioら9)の52の研究を含む48の論文でシメチジン(Cimetidine)925名,塩酸ラニチジン(Ranitidine)756名,ファモチジン(Famotidine)271名,オメプラゾール(Omeprazole)対H2RA 1,273名を対象にしたメタアナリシスでは,治療開始後4〜6週時点での潰瘍治癒率を判断指標にした場合,いずれの薬剤もプラセボより優れており,H2RAの間には有意差がなく,PPI(オメプラゾール)とH2RAの間には有意差(OR=2.00,95%CI:1.57〜2.55)が認められた。
また,Erikssonら10)のH2RAであるラニチジンとPPIであるオメプラゾールを比較したメタアナリシスでは,743名の胃潰瘍症例で,4週と8週時点での潰瘍治癒率を判断指標とした場合,4週における潰瘍治癒率の差は9.9%(95%CI:3.0〜16.8,p=0.05)(オメプラゾール68.7% 対 塩酸ラニチジン58.8%),8週における潰瘍治癒率の差は6.7%(95%CI:1.2〜12.2,p=0.02)(オメプラゾール85.6% 対 塩酸ラニチジン78.9%)であり,PPIの方が優れていた。
さらに,Tunisら11)の18の研究から1,527名の症例を対象にしたメタアナリシスでは,ランソプラゾール(Lansoprazole)とH2RAが比較され,4週と8週の治癒率を判断指標とすると,4週:RR=1.33(95%CI:1.19〜1.49),8週:RR=1.12(95%CI:1.06〜1.19)で,いずれもH2RAに対し,ランソプラゾールの方が治癒率が有意に高いことが示された。
さらに,Salasら12)は,胃潰瘍を対象とした16研究(4試験がPPIとプラセボ,9試験がPPIとラニチジン,3試験がランソプラゾール,パントプラゾール(Pantoprazole),ラベプラゾールナトリウム(Sodium Rabeprazole)をオメプラゾールと比較)(4試験がPPIとプラセボ,9試験がPPIとラニチジン,3試験がランソプラゾール,パントプラゾール,ラベプラゾールナトリウムをオメプラゾールと比較)をまとめ,ラニチジンとランソプラゾール,オメプラゾール,パントプラゾール3薬の統合値による4週時点のリスク比は1.33(95%CI:1.24〜1.42)であることを示した。また,個々の試験で,ラベプラゾールナトリウム,パントプラゾール,ランソプラゾールの方がオメプラゾールと比較して,より優れていることが示されていた。したがって,PPIは塩酸ラニチジンあるいはプラセボに比較し,治癒率が高いことが示された。

 

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