ガイドライン

(旧版)EBMに基づく 胃潰瘍診療ガイドライン 第2版 −H. pylori二次除菌保険適用対応−

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第1部 胃潰瘍の基礎知識

 
6.治療
5)二次除菌法

保険適用のPPI+アモキシシリン(AMPC)+クラリスロマイシン(CAM)で除菌が不成功の場合,CAMの二次耐性獲得頻度は高い。除菌不成功後の二度目の除菌では,耐性がほとんどないAMPC以外は同じ抗菌剤を用いての除菌は難しい。
二次除菌法について,European Helicobacter Study GroupのThe Maastricht III Consensus Reportでは,ビスマスが使える場合は,ビスマスを含む4剤併用療法を二次除菌法として推奨している。ビスマスが使えない場合は,PPI+アモキシシリンまたはテトラサイクリン+メトロニダゾールを推奨している50)
わが国のPPI+AMPC+CAMの3剤併用療法が不成功後の二次除菌法について,CAMをMNZに変えた3剤併用療法の有用性が報告されている(表15)。Nagaharaら51)は,PPI+AMPC+CAMで除菌不成功後の二次治療の除菌率は,PPI+AMPC+CAMで52.9%,PPI+AMPC+MNZで81.3%で,後者が有意(p<0.01)に高かったと報告している。Isomotoら52)は,ラベプラゾールナトリウム(RPZ)20mg1日2回+AMPC 1,000mg1日2回2週間投与とRPZ 10mg1日2回+AMPC 750mg1日2回+MNZ 250mg1日2回1週間投与の2群への無作為割付試験を行い,intention-to-treat(ITT)解析の除菌率は59%と82%で,後者が有意に高かった。Murakamiら53)は,RPZ 20mg1日2回+AMPC 750mg1日2回+MNZ 250mg1日2回の7日間投与を行い,除菌率はITT解析で88.0%であった。Miwaら54)は,一次除菌不成功後に菌の感受性に基づいて二次除菌を行った群と,感受性試験なしにランソプラゾール30mg1日2回+AMPC 750mg1日2回+MNZ 250mg1日2回を10日間投与した群で除菌率に差を認めなかった。Shimoyamaら55)の二次除菌も,96.2%と高い除菌率であった。副作用に関しては,8~26%に認められ,主なものは下痢で,軽度のものが多かったこと,服用中止に至った例ないし服用コンプライアンスに影響が生じた例は1~5%に過ぎなかったことが報告されている51),52),53),54),55)
以上より,PPI+AMPC+CAMで除菌不成功後の二次除菌法は,CAMをMNZに替えた3剤併用療法が望ましいと考えられる。これは2007年8月23日に保険適用となった。二次除菌の保険適用治療薬は,以下の方法で使用する。
1 ランソプラゾール(30mg)1日2回または
オメプラゾール(20mg)1日2回または
ラベプラゾールナトリウム(10mg)1日2回
2 AMPC(750mg)1日2回
3 MNZ(250mg)1日2回
以上13の3剤を1週間投与する。MNZ服用時には,飲酒によりジスルフィラム-アルコール反応が起き,腹痛や嘔吐等が生じるので,飲酒を避ける必要がある。MNZは相互作用でワルファリンの作用を増強するので,注意を要する。

表15 PPI/AC除菌不成功後の二次除菌
著者 レジメン 日数 例数 ITT除菌率
(95%信頼区間)
Nagahara OPZ
20mg od
AMPC
500mg tid
MNZ
250mg bid
10 80 81.3%(71~89%)
Murakami RPZ
20mg bid
AMPC
750mg bid
MNZ
250mg bid
7 92 88.0%(80~95%)
Isomoto RPZ
10mg bid
AMPC
750mg bid
MNZ
250mg bid
7 60 82%(71.6~91.7%)
Miwa LPZ
30mg bid
AMPC
750mg bid
MNZ
250mg bid
10 39 92.4%(79~98%)
Shimoyama LPZ
30mg bid
AMPC
750mg bid
MNZ
250mg bid
7 53 96.2%(87~99.5%)
OPZ:オメプラゾール,AMPC:アモキシシリン,MTZ:メトロニダゾール,RPZ:ラベプラゾールナトリウム,LPZ:ランソプラゾール,ITT:Intention-to treat,od:1日1回,bid:1日2回,tid:1日3回

 

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